4月から、新番組が続々スタートしました。

そんな中、珍しく2クール目に渡って放送しているのが「バジリスク 桜花忍法帖」です。

ここ(前半12話)まで見ての感想や、気になった点などをお伝えさせて頂きます。

 

なお、あくまで個人の感想であること。

また、時に好意的ではない意見も含まれることを、ご了承下さい。

なお、作品のネタバレを含みますので、ご注意下さい。

 

 

バジリスク桜花忍法帖とは?

© 山田風太郎・せがわまさき・山田正紀・講談社/桜花忍法帖製作委員会
アニメ「バジリスク ~桜花忍法帖~」より引用

 

名作「バジリスク 甲賀忍法帖」の、正統な新作アニメです。

ただ前作ファンの中には、「桜花忍法帖」を続編として扱うことに、疑問の声も……。

 

なぜなら、前作には素晴らしい原作漫画があり、今回のアニメの原作は、違う方が執筆した小説だからです。

私はそちらは未読ですが、原作者が違う以上同じとは言えない、というのには頷けます。

 

前シリーズの原作は「バジリスク 甲賀忍法帖」という、アニメと同名の漫画でした。

鬼才・山田風太郎先生の傑作小説(メチャクチャ面白いです!)を、実力派のせがわまさき先生が漫画にしたという、そりゃ傑作になるわ~、という作品なのです。

それを基にした「甲賀忍法帖」アニメも、オリジナル設定やエピソードを加えながら、やはり傑作となりました。

 

基本の話が良いのはもちろん、作画の美しさ、声のハマり具合、そして音楽の素晴らしさ……。

素材(原作)の良さを活かして、見事に映像化した成功例と言えましょう。

ついでにアニメのみならず、パチンコでも大人気です。

 

対して「桜花~」は、原作小説が山田風太郎先生ではなく、山田正紀氏の作品であり……その時点で完全な別物。

ちなみに同名の漫画版もありますが(著者はシヒラ竜也氏。講談社)、これは小説とも漫画とも異なる、オリジナルストーリーです。

絵が美麗だし面白いし、私はこれも大好きですが。

 

とにかく、前作「甲賀忍法帖」の12年後を描くのが「桜花忍法帖」です。

その点は小説も漫画版も、アニメも共通しています。

 

 

伊賀と甲賀の間に生まれた、主人公達

かつては深く憎み合い、敵対していた伊賀と甲賀。

共に有名な、忍者の一族同士です。

 

しかし各里の首領同士は、密かに愛し合っていました。

その二人の間に生まれたのが、双子の兄妹。

それが「桜花~」の主人公・甲賀八郎と、伊賀響の二人です。

© 山田風太郎・せがわまさき・山田正紀・講談社/桜花忍法帖製作委員会
アニメ「バジリスク ~桜花忍法帖~」より引用

 

兄妹は共に、両親の特別な能力……瞳術を受け継いでいます。

 

 

甲賀と伊賀の新世代

新たな勢力「成尋衆」に襲撃され、精鋭を殺されてしまった伊賀と甲賀。

その為、若者達が新たな戦力になるべく、日夜腕を磨いています。

 

「伊賀五花撰」と、「甲賀五宝連」。

各里から選りすぐった、期待のルーキー達です。

彼らは八郎、響と共に、幼い頃から成長過程を描かれてきました。

 

また彼らを見守るお目付け役に、滑婆(なめんば)と転寝(ごろね)がいます。

特に転寝は病弱ですがメカに強く、防具や車椅子、連射銃なども作る凄腕です。

 

 

恋と戦い

前作では「敵同士の恋」という裏テーマがありました。

そして今作で描かれるのは、「実の兄妹」の関係です。

 

実の兄妹でありながら、濃い血を残す為に、つがいになることを望まれる八郎と響。

テレビ放送に考慮してか、その点についてはあまり、深く描かれていませんが……。

 

互いを大切に思っているのは伝わりますが、それが兄妹をしての家族愛なのか……それとも、禁断の男女愛なのか。

アニメでは描写が少なく、どちらか分かり難いです。

(漫画版ではお互いにまっしぐらなので、余計に描写の少なさを感じてしまいます)

 

また前作では「伊賀VS甲賀」の戦いでしたが、今作では「伊賀&甲賀VS成尋衆」という図式です。

「長年対立していた一族同士の協力」という、胸アツな流れなのですが……正直、盛り上がりに欠ける展開で、あまり夢中になれません。

 

新世代メンバーも、一人一人が個性豊かで、充分に魅力的なのに……。

一体、なぜでしょうか?

 

 

スポンサーリンク



 

 

問題は、テンポの遅さ?

なぜ、イマイチ入り込めないのか……?

第一話の頃から、少し気になってはいました。

 

それは「説明が多いかも?」「テンポが悪いかも?」という、二つの点です。

 

最初は世界観や、登場人物の紹介。

更に、前作を知らない人への説明が必要なのは、当然だと思います。

 

そう思いながら、ずっと観てきたのですが……。

10話を越えた今も、残念ながらずっと「説明の長さ」を感じ続けています。

物語に夢中になるのではなく、ひたすらストーリーや、キャラクターの背景を理解しようと観ている……そんな感覚なのです。

 

ここ数話は特に、レギュラー陣一人一人の過去にスポットを当てて、丹念に描いています。

式部の特殊体質の理由や、七弦や現の、子供時代のエピソードなど。

本当ならば、とても贅沢な書き方なのですが……正直、「そのへんはサクッと済ませて、早く話を進めて欲しい」と思ってしまって……。

 

比較対象がおかしいのは重々分かっていますが、同時期放送の「ポプテピピック」を夢中になって観ていたことを思うと……残念ながら「桜花~」は、義務感で観ている感覚が強くて。

そのせいで、よりテンポの悪さを強く感じてしまっているのかもしれません。

 

あと最近、作画の崩れを感じる回があるので、それも残念です。

回によってはとてもキレイだし、せっかく女の子達が可愛いのに……。

 

 

もっと、兄妹の感情を描いて欲しい

© 山田風太郎・せがわまさき・山田正紀・講談社/桜花忍法帖製作委員会
アニメ「バジリスク ~桜花忍法帖~」より引用

 

別物なのは承知ですが、同作品の漫画版が、とても面白いので。

比べると、余計にアニメに対して点が辛くなってしまうのはあるかもしれません。

 

漫画版はストーリーも、キャラクターの性格も、アニメとかなり異なります。

個人的には、漫画版の性格のほうが感情移入し易いです。

 

何より妹の響を優先し、彼女の為に行動する熱い男・八郎。

同じく、兄と共にあることを最優先させる響。

勝つ為に仲間を切り捨てようとしながら、非情になりきれない七弦。

 

怖がりだけど、現の為に頑張る涙。

漫画版の新世代は、ある意味突き抜けた性格で、偏りがあって……だからこそ分かり易いし、強烈な魅力が生じるのだと感じます。

「分かり易さ=良い」とは、限りませんが。

 

少なくとも私には、熱い性格のほうが感情移入し易いです。

妹を救う為に、自分も仲間の命も迷わず投げ出す八郎……。

兄と共に生きる為、躊躇わず自分の片瞼を縫う響。

 

それに比べると、アニメの彼らはお行儀が良い分、大人しく感じてしまいます。

心の中にある想いを、もっともっと出して欲しいです。

 

 

1クールを終え、折り返し地点に入った「桜花忍法帖」。

まだまだ物語の途中ですが、個人的には「もっとテンポアップして、もっと夢中にさせて欲しい!!」という気持ちです。

まだ敵の素性や目的など、判明していない部分もありますし。

 

そして本作のオープニング、エンディングはとても素敵です。

楽曲も、映像も。

これからガンガン面白さが加速して、夢中になれますように。

一ファンとして、期待しております。