アニメ作品の中には、これまでたくさんの戦うヒロインが当場してきました。

しかし、年代が過ぎるごとにそのキャラクター性はかなり変わってきたような気がします。

今回は、僕が見てきたヒロインを年代ごとに紹介したいと思います。

 

 

戦うアニメのヒロインの歴史

「戦うヒロイン」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは?

そのイメージによってあなたの年代が分かるかも。笑

 

ただ、今ではそうやって簡単にイメージできますが、昔は・・・それこそ戦後の日本なんて女性が戦地の前線に出るなんて考えられない事でしたから、

「戦うヒロイン」と聞いて簡単にイメージが出来るのも今の時代ならではなんですよ。

 

さて、早速振り返ってみてきましょう。

 

1970年代

この時代は、まだまだ戦うヒロインは少なかったと思います。

いても、男性がメインであって女性はサポート役のような立場で、自ら率先的に戦うというヒロインはなかなかいませんでした。

 

そんな中で現れたのが「キューティーハニー」。

 


永井豪/秋田書店・NET系列、毎日放送
アニメ「キューティーハニー」より引用

 

これがなかなかの革新的出来事。

首のチョーカーに指を当てて、「ハニーフラッシュ」の掛け声と共に変身するハニーにとても憧れました。

そして、様々な職業に変身するハニーは一人で戦う孤高の戦士でした。

 

ですが、女の子向けだったかと言うと、どちらかと言えば男の子向けだった気がします。

変身シーンとか、ちょっとしたお色気シーンなどを取り入れていたのは、やっぱりこの作品のターゲットが男の子だった証拠だと思うんです。

でも、たった一人で戦い続ける彼女は、とても格好良くて、憧れの存在でした。

 

 

1980年代

この時代になるとドンドン「戦うヒロイン」が誕生してきます。

個人によってイメージするヒロインは少し違うのかもしれませんが、僕にとっては「キャッツアイ」。

 


北条司/集英社・東京ムービー新社
アニメ「キャッツアイ」より引用

 

美人三姉妹が美術品を盗むという展開で、また、ヒロインの恋人が警察官というのも、かなりドラマティックでした。

カードを予告状として投げる所がとても素敵。

 

しかし、まだまだ女の子向けではなかったと思います。

ピッタリと身体にフィットしたレオタードで夜の町を飛び回る姿はかなりセクシーでした。

その後に製作された「ダーティペア」も、やっぱり可愛いというよりは格好良いヒロインが活躍していました。

時代的にも、どんどん経済が上向きになって、働く女性が増えた時代でもありました。そんな、男性を必要としない女性像を投影したようなヒロインだったと思います。

 

 

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1990年代

この時代になると、やっと今の時代に近いヒロインが誕生しました。

「美少女戦士セーラームーン」。

 


© 武内直子・PNP・講談社・東映アニメーション
アニメ「美少女戦士セーラームーン」

 

これね、意外だと思うですが「キューティーハニー」の方が古いんですよ。

多分倖田來未さんがリメイクしてテーマソングを歌ったことによって、セーラームーンの方が古いイメージが植え付けられている人が多いんですよ。

 

魔法少女の要素と戦う要素を併せ持ったヒロインが「セーラームーン」。

ヒロインである月野うさぎはドジで泣き虫という、今までの戦うヒロインの中ではかなり変わったキャラクター。

 

そして、そんなうさぎを助ける為に現れたのがタキシード仮面。

毎回、赤いバラを投げて登場して、キザな台詞を告げて去っていくという、女の子が喜びそうな要素もたくさんありました。

 

そして、何よりも今までとは違うのが、友情を全面に押し出してきたという事だと思います。

なかなか女の子だけで友情を現すというのは難しいと思うのですが、このセーラームーンは見事に表現できています。

 

特にうさぎとは当初ライバル関係にあった火野レイとの友情は、大人が見てもかなりグツとくるものがあります。

現在の集団で戦うヒロイン像を作り上げたのは、このセーラームーンだと思います。

その影響力は本当に大きい。

バスケアニメが「スラムダンク」を参考にしているように。

王道バトル漫画が「ドラゴンボール」を参考にしているように。

戦うヒロイン像を造り上げたのが「セーラームーン」。

 

そのため、続々とこのセーラームーンの影響を受けたかのような作品が誕生してきます。

「愛天使伝説ウェディングピーチ」もその1つ。

こちらはかなり度肝を抜かれる設定で、まずウェディングドレスの姿で敵と戦い、お色直しのごとく変身する・・・というかなり無茶な設定でしたが、とても人気があった作品です。

 

 

2000年代

そして、2000年代に入り女の子達を魅了しているのが「プリキュア」シリーズですよね。

 

【公式】ふたりはプリキュア 第1話「私たちが変身!? ありえない!」

東堂いづみ/ABC、ADK、東映アニメーション
アニメ「ふたりはプリキュア」より引用

 

コレが、ながーいプリキュアシリーズの始まり。

 

女の子達はみんなこのプリキュアシリーズが大好きですよね。テイストとしては、「セーラームーン」にかなり近いとは思うんです。

ですが、なぜこのシリーズが成功しているかと言うと、シリーズのベースは変えず、キャラクターを、コロコロと変えていく事。

まるで「モーニング娘。」や「AKB48」のように。

 

そうする事で、子供達が飽きずに楽しんでくれるのではないかと思います。

キャラクターの設定年齢もかなり抑えぎみ。

そして、映画になると過去のプリキュアが一同に集まるという、かなり大勢の人数が出演する豪華な映画が誕生します。

かなり内容的にも大人が見ても面白いので、小さな子供達と一緒に、保護者の方もハマっているのが分かりますね。

 

 

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2010年代アニメの戦う女の子たち

では、ここからは2010年代アニメの戦う女の子をご紹介します。

1970年代から続く、戦うヒロインの歴史を引き継ぎどんな作品が出てきたのでしょうか。

ココではその代表作として3つの作品を紹介します。

 

 

ガールズ&パンツァー


(C)GIRLS und PANZER Projekt
アニメ「ガールズ&パンツァー」より引用

 

「女の子×戦車」・・・かつてこのような組み合わせのアニメはあったでしょうか。

というかこの2つを掛け合わせようと考えた人はいたでしょうか。

まさに、未知の領域。

 

アクタス制作によるオリジナルアニメ。

アニメが放送されると、たちまち人気となり、現在に至るまでに小説、ゲーム、アニメ映画など多くのメディアにて展開される作品となりました。

戦車をメインに扱った作品であり、可愛い少女たちが本気で戦車を用いた戦いを繰り広げています。

その世にも珍しい設定からか、多くのアニメファンを驚かせた作品と言えるでしょう。

 

舞台設定としては・・・

乙女の嗜みとして華道、茶道、さらには「戦車道」というものが存在する世界。

学校対抗の全国大会が催されている世界で、大洗女子学園に転入した「西住みほ」は自分の戦車道を見つけようとしていました。

多くの仲間と全国の強豪校との戦いの中で描かれる、本格派の戦車バトル作品です。

 

見る前こそ、どんな作品かも全く想像ができていませんでした。

女の子だけのアニメだったので、戦車なんて飾り程度くらいにしか登場しないのだろう、と高を括っていたのです。

 

しかしそんな甘い考えは見事に裏切られました。

バリバリ戦っていました。

戦車を使って。

そして色んな種類の戦車が登場し、それぞれの特性に合わせた戦闘方法を用いて、さらには学校によっても戦法が全く異なり、これほどまでに戦車の戦いを具体的かつ綿密に描いているなどとは予想もしていなかったのです。

そもそも街中で戦車の戦闘ということがまず考え付きません。

 

本作は茨城県大洗町を舞台としており、作中では実際の地域を舞台に戦いが行われていましたね。

市街地の多くを背景に取り込んでおり、聖地巡礼を行うファンが街に殺到。

広大な土地の中で行われる戦闘も、入り組んだ市街地で行われる戦闘も、どちらもそれぞれの地形を生かした内容となっており、本当に楽しめます。

 

また、敵は敵で全員個性があり、どの試合も全然雰囲気が違うのです。

個人的にはアンツィオ戦が好み。

見ていてひたすらにワクワクしたことを覚えています。

 

物語最後に繰り広げられた、「西住まほ」の姉との一騎打ちも興奮しました。

カメラワークや演出が凝っており、ラストに相応しい戦いだったと思っています。

作中では各戦車の簡単な解説も入っています。

わたしはそこまで理解できたわけではありませんが、それでも十分に楽しめましたし、誰が見ても納得のいく面白さを提供してくれる作品だと思っています。

自信を持ってお勧めできる作品です。

 

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ハイスクール・フリート


© AIS/海上安全整備局
アニメ「ハイスクール・フリート」より引用

 

「女の子×戦艦」。

船での戦いです。

これまた誰も予想しなかったでしょう。

 

そしてこちらの作品も本気で戦艦で戦っていました。

女の子がここまで船を操れるものなのかと驚愕させられた作品。

知っている人も多いと思いますが、最初は「はいふり」が作品の正式名称だと公表されていたのに、蓋を開けたら違ったという多くの人を騙したアニメです。

 

日本列島のほとんどが沈んだ世界を舞台にした学園SF作品。

地上と海上の安全を守る「ブルーマーメイド」に憧れを持つ「岬明乃」は、養成学校である横須賀女子海洋学校に入学します。

入学者たちは各戦艦に配属され、海洋実習に挑むのでした。晴風の艦長に選ばれた「岬明乃」を筆頭に、乗組員たちは様々な問題に対処しながら「ブルーマーメイド」になるべく実習をこなしていきます。

戦艦同士の戦闘シーンは迫力があり、他にも友情や一風変わった学園生活など色々な要素が楽しめる作品。

 

物語前半は乗組員たちに焦点を当てている印象が強かったので、やはり船はあくまで飾りなのかな、と思っていました。

それでも、それを補う女の子たちの可愛さがあるので勿論楽しんで見てはいましたが。

しかしラストバトルの晴風×武蔵の戦いは本当に胸が熱くなりました。

 

これまでの戦闘はなんだったのかと思うほどの迫力と豪華さ、乗組員たちの熱意の塊といった感じです。

作中でそれまでに戦ってきた戦艦が縦列、良く分からなかったですがマヨネーズ理論の登場、「知床鈴」が顔芸を披露しながらも必死に舵を取り、「西崎芽依」と「立石志摩」の砲撃発射シーンは格好良すぎる、そして艦長の戦略の強さ…。

全てここに集約したと言っても過言ではないほどの熱い展開でした。

 

最後にOP曲が流れるというのも胸を掴まれた要因でしょう。

細かな設定としてウイルスが蔓延していたりしましたが、そんなことがどうでも良くなるバトル展開でした。

最後の戦いのために見る価値がある作品。

しかし最後、晴風が撃沈するとは思っていませんでした。

 

 

結城友奈は勇者である


(C)2014 Project 2H
アニメ「結城友奈は勇者である」より引用

 

これは女の子たちが身体を張って戦うアニメです。

 

最初は魔法少女かと思いましたが、魔法少女と言うには野蛮すぎる感じです。

そのような可憐で可愛いものではなくて、彼女たちは「勇者」でした。

 

主人公の「結城友奈」は普通の中学2年生の女の子でした。

たった一度のアラームが鳴るまでは…。

 

そのアラームは彼女が勇者になるきっかけを作り、そして世界と人類滅亡の危機を知らせるものだったのです。

「バーテックス」という敵が人類滅亡をもたらす侵略をしてきたとき、「結城友奈」とその友達たちは勇者になることを決意しました。

そして彼女達の絶望と希望の戦いは幕を開けたのです。

 

とにかく勇ましいな、ということが主な感想です。

野太い声、主人公の必殺技が体術、そして可愛いイメージが全く結びつかない戦闘シーン。

こんな女の子のバトルアニメもあるのだな、と感じたものです。

 

それまで女の子が変身をして戦うものは、往々にして可愛さを含ませてのものが多数を占めていました。

勿論登場人物は可愛いのですが、戦闘シーンは可愛さがあまり見られないもので、とにかく男の子が好みそうな戦闘でしたね。

 

そして日常の平和な可愛いパートをなかったことにするような絶望が用意されていたことに驚きです。

物語の最初は微笑ましい場面が多かったのですが、真実が明かされるほどに少女たちは傷つき絶望し、見ているこちらが苦しくなるようでした。

彼女たちの悲痛な鳴き声は脳裏に焼き付いて離れません。

これまた一風変わった女の子たちのバトルアニメ作品。

 

戦闘シーンでは基本的に「結城友奈」が勇者パンチを繰り出して解決していましたが、終盤での「三好夏凜」の勇者部五箇条を叫びながらの戦いは本当に格好良かったです。

率直に勇者ぽいと思いましたね。

巧みな刀捌きから繰り出される俊敏な攻撃に、あの気迫は見物です。

 

 

 

こうして、いろいろな時代をいろいろなヒロインが彩ってきました。

それぞれの作品の特徴を把握するに当たって、その時代の世相も分かってきます。

女性が社会的地位を得ようと必死だった頃に誕生したヒロインというのはどこか孤独のような気がします。

 

そして、経済的にも豊かになりつつある時には、ヒロインというのはオシャレでいて、男の人の力を借りなくても、強くたくましく生きていっている印象が強いです。

また小学生達がファッションに敏感になった頃には、オシャレなヒロインがたくさん誕生しました。

 

2010年に入ってからは「少女」とは結びつかないものと掛け合わせ、独自のコンテンツとして作り上げる作品が多いような気がします。

まあ、アニメバブル・・・なんて言葉もあるくらいたくさんの作品が制作されていますからね。

キャッチーな要素、目を引く工夫をしなければファンを獲得するのは難しいのでしょう。

 

おそらく、これからも時代が移り変わるのと同時に、また新しい形のヒロインが誕生する事と思います。

 

戦うヒロインは、女の子にとっては永遠の憧れです。

誰もがあんな風に強く凛々しくありたいと思っているのですから。