意外と知られていない名作「十二国記」。
NHKが制作した作品で賛否は両論あるようですが、コアなファンも納得するほど本気を出して制作をしたのだということが伝わる良作です。
その魅力はもちろんストーリーもありますが、素敵なキャラクターを備えた登場人物が多数登場します。
今回はその登場人物に的を絞り、十二国記に登場する素敵なコンビ愛についてご紹介したいと思います。
小野不由美先生の小説が原作の、名作アニメ「十二国記」。
放送から十年以上経つ今も、根強い人気を持つ傑作です。
老若男女、人間、悲人間を問わず素晴らしいキャラクターが登場する本作。
そして、素敵なコンビもたくさん出てきます。
今回はその中で、個人的に好きなコンビの良さをご紹介させて頂きます。
アニメ「十二国」のコンビ達
景麒と泰麒
まず、最初に推すコンビ・・・。
迷いましたが、数ある中から「景麒と泰麒」を挙げさせて頂きます。
読み方は「ケイキとタイキ」。
共に、この世に十二頭しかいない「麒麟」という神獣です。
いわば同族であり、兄弟のようなモノ。
麒麟は天の意志を受けて、王を選ぶ大切な存在。
普段は人の姿をしていますが、本来は鹿に似た、獣の姿をしています。
しかし泰麒は、獣の姿に転変することが出来ません。
産まれる前に蓬莱(私達の住む日本)に流されてしまい、十歳まで人間として育った為、神獣の自覚が無いからです。
十歳の時、本来あるべき世界に連れ戻されましたが、麒麟らしいことが何も出来ず悩みます。
そんな彼の為に女神が呼び寄せたのが、同じ麒麟の景麒でした。
同族ならではの、出来ることがあるだろうと。
景麒は、感情を顔に出さず、言葉も足りないタイプ。
子供の扱いには、最も向かない麒麟と思われました。
しかし、素直な気性の泰麒になつかれ、景麒は少しずつ優しさを見せるようになります。
本来、景麒も神獣らしい優しく、慈悲深い性格。
それが表に出ないだけなのです。
幼い泰麒を背に乗せて空を飛んだり、妖獣を手懐ける方法を教えたり。
短い時間ですが、仲の良い兄弟のように過ごした時間は、二人にとってかけがえの無いものになりました。
それは、何年経っても変わりません。
謀叛が起き、泰麒が行方不明になった時、彼の無事を深く案じた一人が、景麒でした。
麒麟は慈悲深く、人に悪意を持てない純粋な生き物。
だからこそ、普通の人間の持つ負の感情を理解出来ず、お互いに戸惑う場面も。
同じ種族だからこそ、通じ合える貴重な相手なのだと思います。
微笑ましい兄弟のような、可愛いコンビです。
陽子と楽俊
第二に推すコンビは、「陽子と楽俊」。
「ヨウコとラクシュン」と読みます。
陽子とは、本シリーズの最初の主人公である中嶋陽子のこと。
始まりのエピソード「月の影 影の海」で、現代日本から十二国世界へと突然連れ去られました。
訳の分からないまま知らない場所へ連れて来られ、しかも拉致した景麒とはぐれてしまい、出会う人々には武器を向けられ、追われ……。
現代の日本で穏やかな暮らしを送っていた彼女にとって、人に憎まれ、悪意を向けられる生活はあまりにも辛いものでした。
たまに親切な人に会っても、信じた挙げ句裏切られ・・・。
人目を避けて逃げ惑い、他人を警戒する暮らしは、どんどん陽子の心を荒ませていきます。
しかもなぜか、行く先々で妖魔に襲われ・・・。
身も心も疲れ果て、重症を負い倒れた彼女を助けたのが、人の言葉を話す大きなネズミの楽俊でした。
家に連れ帰り、陽子の手当てをする楽俊。
しかし人に何度も裏切られてきた陽子は、彼を信用することが出来ません。
また裏切られたら・・・と恐れるあまり、心を閉ざす陽子。
2人はそれぞれの目的の為に、大国「雁」を目指し旅をします。
その途中で妖魔に襲われ、撃退したものの、楽俊はケガをし意識を失います。
駆けつけてきた役人に捕まったら、海客(異邦人)の自分は処刑されてしまう!
迷いながらも陽子は、彼を置いて逃げ出します。
罪の意識に苦しむ陽子。
自分の中に
「裏切られても、自分が裏切り者になるより、いい」
そう思える良心が残っていることに、初めて気づくのです。
卑怯な心に打ち勝ち、本当の「こうありたい」自分に気付いた陽子。
楽俊を案じながらも単身で雁国を目指した彼女は、ようやくたどり着いた雁国の港で、待っていた楽俊と再会します。
見捨てて逃げた自分を恨まない彼に、ようやく本当の心を晒せた陽子。
「正しいと思うことをする勇気」
「人を信じる勇気」
を教えてくれた楽俊は、陽子にとって十二国世界で初めて得た、そしてかけがえの無い友人となりました。
故国では半獣と呼ばれ、差別されていた楽俊。
海客と呼ばれ、忌み嫌われた異邦人の陽子。
新たな地・雁国で本当の友となり、不当な差別を受けない生活を始めた二人の姿は希望に溢れていて、何度見ても嬉しくなります。
そんな中、ひょんなことから陽子が隣国「慶」の王になるべき人物だと判明します。
景麒は王となるべき彼女を連れてきたものの、捕らえられて動けないことも。
「王様と自分なんかが、親しく付き合うことは出来ない」
「今までの無礼をお許し下さい」
楽俊に悲しそうに言われた陽子は、険しい表情で言い放ちます。
「それは差別だ」
「私達の間には、たかだか二歩の距離しかないじゃないか」
と。
2人は何があっても、変わらない友情を築きました。
それは陽子が玉座につき、楽俊が大学で学ぶようになった今も、変わりません。
なかなか会えなくても文を交わし、励まし合う2人。
性別も身分も越えて、決して褪せない絆を築いた2人が、私は堪らなく好きなのです。
他にも、素晴らしいコンビが数多く出てくる本作。
意外と知られていない作品ですが、コアなファンが多く長年愛されている作品です。
自信を持ってオススメ出来良作。
これを気に少しでも視聴者が増えることを願っています。