2017年4月から全12話で放送された「正解するカドKADO: The Right Answer」。

東映アニメーションが制作を務め、フルCGキャラクター表情に挑んだ作品です。

 

 

「正解するカドKADO: The Right Answer」のあらすじ


© TOEI ANIMATION,KINOSHITA GROUP,TOEI
アニメ「正解するカドKADO: The Right Answer」より引用

 

ある日、突如として羽田空港の滑走路上に超巨大な正立方体が現れました。

謎の物体は1辺が2km以上にも達し、偶然滑走路上にいた飛行機を飲み込みながら着地しました。乗客もろとも飲み込まれてしまったため、政府は各省と連携をとり、乗客の救助、ならびに謎の物体の正体を知ろうと動きます。

 

その最中、謎の物体の上に白髪の青年と、飲み込まれた飛行機に偶然乗り合わせていた交渉官である「真道幸路朗」が姿を現しました。

白髪の青年は異方から来たと宣言しました。彼の名は「ヤハクィザシュニナ」。

彼は「正解にたどり着くため」に人間との交渉を求めてきたのです。

 

その交渉人として選ばれたのが「真道幸路朗」です。

2人はやりとりを繰り返し、ときには「ヤハクィザシュニナ」は異方のモノを人間に提供しました。

やがて明かされた「ヤハクィザシュニナ」の真意とは、人類を残らず異方に送るということでした。

反対した「真道幸路朗」と、日本国代表として交渉官を務めた「徭沙羅花」は「ヤハクィザシュニナ」の野望を阻止しようと策を考えます。

 

そのとき「真道幸路朗」は「徭沙羅花」が異方存在の転生だったことを明かされ、2人は時間が何倍ものスピードで過ぎていく空間にて子供を産みました。

2人は異方の力を持った娘である「ユキカ」に全てを託し、「ヤハクィザシュニナ」を討ちとり、世界は元の姿へと戻ったのです。

 

 

「正解するカドKADO: The Right Answer」感想

割と話が難しいのが特徴的なアニメでした。

でも一言で言ってしまうのならば、「ヤハクィザシュニナ」がJKラスボスに倒されるお話、というところでしょうか。

1話を見ただけの人にこれを言って、どれだけの人が信じるのか、試してみたいものです。

8話目くらいまでは本当に面白いアニメだと思いました。

これまで見たどのアニメとも異なる世界観であり、設定も「交渉」をコンセプトにしているので、人間性のあるストーリーになっていました。

さらにCGを使っていながらも人物の表情は柔らかさを持っており、人間味のある表現が表現されていました。

 

本作では異方存在との対話をコンセプトにしているだけあって淡々と進んでいきます。

しかしその中で設定が細かく練られていると思う場面がものすごく多かったです。

話すことをメインとしているのに見ていて飽きないというのは、それだけ物語や設定がしっかりしている証拠でしょう。

何より、「ヤハクィザシュニナ」の言う「正解」とは何なのだろう、と本当に疑問でした。しかしその正解はラストまで明かされず、絶えず視聴者に疑問を含ませた構成は、惹かれる人には惹かれるものだと思います。

 

毎話の終わりの引き方も同様で、逸材だと思います。

わたしは本当にどっぷり浸かってしまいました。

それなのに、なぜ急にバトルが始まったのでしょう。

終盤以外は本当に真面目なアニメだなと思っていました。

しかし最後でギャグ要素満載になってしまったのです。

さらには愛が持ち込まれました。

 

そして無理やり片付けようとしたようなラスボス「ユキカ」の登場です。

色々飛びすぎたと思います。多くの視聴者が度肝を抜かされたラストの展開だったと思います。

また、これまでの落ち着いた雰囲気が一転したため、がっかりしたり納得できないという人が多くいたのではないでしょうか。

 

 

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それにしても「ヤハクィザシュニナ」は「真道幸路朗」のことが本当に大好きだったのだな、と痛感しました。

最後、嫉妬のしすぎでクールな装いから一転、顔芸のようになってしまっていましたね。

 

最後で本物の「真道幸路朗」が間違えたため、偽「真道幸路朗」を作り出した「ヤハクィザシュニナ」でしたが、その偽を見ているときの寂しそうな顔が印象的です。

人間味が溢れてきているな、と変化を感じられたのです。

終盤に良く見られた顔芸はその変化の一環と受け取るべきなのでしょう。

 

あと、個人的に「品輪彼方」が可愛くてお気に入りでした。

記者会見にてワムを作った時のドヤ顔とニヤっとはにかんだのは猛烈に可愛いと思えました。

そんな「品輪彼方」ですが、最後、ちょっとコンビニ行ってくる感覚で異方に行ったのには驚きでした。軽すぎ、と思わず突っ込んだほどです。

総合的に、色々な意味で面白い作品ではありましたが、最後はどうしても納得できませんでした。

個人としては最後までちゃんと「対話」をしてほしかったのです。

しかし世界観はどうしても好きなので、少し惜しいというのが総合的な感想です。

 

 

「正解するカドKADO: The Right Answer」考察・・・「ヤハクィザシュニナ」の願いは叶ったのだろうか


© TOEI ANIMATION,KINOSHITA GROUP,TOEI
アニメ「正解するカドKADO: The Right Answer」より引用

 

本作を見終わって思ったことがあります。それは「ヤハクィザシュニナ」の願いは叶ったの?ということでした。

 

彼の本来の目的は人類を異方へ送るということです。そして「真道幸路朗」には特に共に来てほしい、この願いを受け止めてほしい、という風に願っていたはずです。

しかし本物の「真道幸路朗」は願いを聞き入れず、「ヤハクィザシュニナ」と敵対してしまいます。

そこで「ヤハクィザシュニナ」は本物の「真道幸路朗」を殺し、偽物の「真道幸路朗」を生み出し、何度でも正解にたどり着くための手段をとりました。

 

これは果たして「ヤハクィザシュニナ」が望む正解へたどり着くのでしょうか。

もしかしたら、偽「真道幸路朗」が人類を異方へ送ることに賛同するときがくるかもしれません。

 

しかしこれは「ヤハクィザシュニナ」の本当の願いに当てはまるのでしょうか。答えはきっと違います。

思うに、「ヤハクィザシュニナ」の本当の正解は、本物の「真道幸路朗」が目的に賛同し、異方に来てくれることだと推察されます。

その根拠として、最終話では「ヤハクィザシュニナ」は偽「真道幸路朗」を見て、少し寂しい表情を浮かべます。これは本物の「真道幸路朗」と接しているときには決して見せなかった表情です。

 

それでは一度偽物を生み出してしまった「ヤハクィザシュニナ」は永遠に正解にたどり着けないのでしょうか。

これはどうとも言えませんが、地球にやってきた当初に想定していた正解へはたどり着けるかもしれません。

これは偽「真道幸路朗」が賛同すれば良いだけの話なのです。

 

しかし本物の「真道幸路朗」と交渉を重ね、関わり合っていく中で生まれた「真道幸路朗」への思いを加味して考えるのならば、永遠に正解にたどり着けないと言えるでしょう。

彼自身、自分がそこまで「真道幸路朗」にのめりこむことなど予想していなかったと思われます。そこが彼の犯したたったひとつの失敗だったのかもしれません。

 

 

さいごに

長くなりましたが、皆さんはこのアニメを見てどのように捉えたのでしょうか。

難しい話も多く、視聴者に謎を多く提供したこのアニメ、気になる部分が沢山残っています。

できることならば、どんな感想を抱いたのか知りたいです。

それだけのめりこめる作品だと、わたしは思っています。