傑作アニメ「十二国記」。
中華風の異世界を舞台にした、壮大なファンタジー作品です。
十二の国があり、その国をそれぞれの王と、相棒である神獣「麒麟」(キリン)が治めています。
今回は、運命共同体とも言える「各国の主従・その相性」についてお話させて頂きます。
アニメ十二国記の主従関係
陽子と景麒
まずは、シリーズ最初に登場した主従について。
「慶国」の女王である陽子と、その従者である景麒(ケイキ)の二人です。
もともとは十二国の世界ではなく、蓬莱(現代日本)で生まれ育った陽子。
彼女はこちらの世界に連れて来られ、やがて天の意思を受け入れて女王となります。
ところが、まだ常世(十二国世界)に来たばかりの陽子には、故郷との違いに戸惑うことばかり。
知らないこと、分からないこと、習慣の違いなどが多く、何かと不自由な思いをしています。
この地で生まれ育った者には当たり前のことが、陽子には普通ではない。
急に外国での生活を余儀なくされるよりも、もっと不便を感じたことでしょう。
そして彼女の相棒である景麒は、ある意味、典型的な「常世生まれの者」でした。
主人が何に戸惑っているのか分からず、困ったり、苛立ちを見せたり。
もともと言葉少なでコミュニケーション能力が低い彼の言動は、陽子を委縮させてしまいます。
これが後述の雁国の麒麟ならば、同じ蓬莱生まれとして、感覚の違いを共有出来るのですが・・・景麒ではなかなか共有できず。(;´Д`)
しかし陽子は現状を変えようと学び始め、景麒に自分を信じるよう、強い目で命じます。
共に生真面目で、若く未熟な二人。
言葉が足りず、すれ違ってしまうこともあります。
それでも懸命に歩み寄る慶の主従は、これから信頼関係を作っていく、若さと希望に溢れた新米コンビなのだと思います。
相性は、現時点では未知数。
これからの成長に、期待大です。
尚隆と六太
第二の主従は、大国である「雁国」の大小コンビです。
王である尚隆(しょうりゅう)と、麒麟の六太(ろくた)の主従関係。
見た目は成人男性と幼い少年ですが、お互いに遠慮なくポンポン口喧嘩をする、悪ガキ同士のような二人です。
尚隆と六太は共に、陽子と同じく蓬莱で生まれ育ちました(胎果)。
今から五百年前に日本で生まれ育ち、やがて数奇な運命によって、雁国へと帰還します。
ですから、普通の者には通じない故国日本の話や、こちらの常識への違和感を共有できる、稀有なコンビなのです。
歴史上でも、主従揃って胎果という国は、とても珍しいのではないでしょうか。
また堅苦しいことを嫌う、ざっくばらんな人柄も、主従に共通したもの。
他国の主従は皆、畏まったやり取りをする人達ばかり。
なにかと型破りな王と、イタズラ小僧のような麒麟は相性ぴったりに思われます。
そして、故国で親に捨てられた六太と、領民を守れず失った尚隆。
すべてを失い、大きな傷を負った状態で主従の絆を結んだ二人は、喪失感を抱き続ける者同士でしょう。
五百年の間に培った絆や信頼感もあり、相性バツグンの二人です。
円満の秘訣なのか・・・言いたいことを溜め込まないこと・ベタベタしすぎないことも、大切なポイントと思われます。
驍宗と泰麒
第三の主従は、載国の白黒コンビ。
覇気漲る青年王の驍宗(ぎょうそう)と、幼い少年の泰麒(タイキ)の主従です。
麒麟の泰麒は、陽子達と同じく、蓬莱で生まれ育った者。
十歳の時こちらに連れて来られたものの、知らないこと・分からないことばかりで戸惑います。
なにせ
「お前は人間ではなく、本当は神獣なのだ」
と言われたのですから。
でも持ち前の素直さと子供ならではの柔軟さで、泰麒は着実に常世に馴染んでいきます。
そして彼が天の意思を受けて選んだのは、勇名を馳せる武人の驍宗でした。
強いカリスマ性と強さ、厳しすぎるほどの苛烈さを持つ驍宗と対照的に、幼く、優しく、気弱な泰麒。
年齢差や体格差はもとより、性格も正反対のコンビです。
でも、自分にも他人にも厳しく、相手を怯えさせる主と、反対に守ってあげたくなるような、幼さ・素直さを持つ泰麒。
二人は自分に無い物を補い合える、バランスの良い主従なのだと思います。
褐色の肌に白い髪の主と、麒麟には珍しい黒い髪の麒麟は、見た目にも良い組み合わせです。
ここまでにご紹介した三組は、放送済みのエピソードで中心となった主従です。
他にも漣(れん)や才(さい)、恭(きょう)に功(こう)など、いくつかの国の主従が登場していますが、主従の片方しか出ていなかったり、まだあまり長い登場場面が無かったり。
もしくは、既に亡くなってしまっていたり・・・ちなみに、まだ一度も登場していない国もたくさんあります。
なので今回は、今まで物語の中心となった、主要国に的を絞ってお話させて頂きました。
「東の海神 西の滄海」を最後に、新作が発表されていない本シリーズ。
ぜひ未登場の国や、多く描かれていない国も、新作ではスポットを当てて欲しいです。
残念なことに、今のところ続編が作られるという話は聞きませんが・・・。