森見登美彦先生。

氏の小説はテレビアニメ、劇場用アニメ、そして舞台化と、様々な分野でメディアミックスされ、愛されています。

今年の夏には「ペンギン・ハイウェイ」の劇場アニメ化も発表された、森見登美彦先生。

 

独断と偏見ですが、今回は「初心者にオススメの森見作品ランキング」をご紹介させて頂きます。

摩訶不思議な世界、黒髪の美女。

そして、しょうもないけど憎めないキャラクター達に、ぜひ触れてみて下さい。

また言うまでもなく、原作小説もオススメです。

 

 

森見登美彦作品おすすめランキング

第1位:有頂天家族


©森見登美彦・幻冬舎/「有頂天家族」製作委員会
アニメ「有頂天家族」より引用

 

悩みましたが、とっつき易さではやはり「有頂天家族」が1位でしょうか。

可愛いらしいキャラクターデザインに、美しい京都の景色。

そして家族愛や恋、友情など、普遍的なテーマを扱っているのもポイントです。

 

物語の中心は、京都下鴨神社に住まう、狸の家族。

若々しく美しい母狸に、個性豊かな四匹の息子達。

偉大な父は既に亡いけれど、家族皆で仲良く、楽しく暮らしていました。

 

宝塚マニアの母に、息子達も生真面目、引きこもり、お調子者、怖がりと、なんともバラエティー豊か。

化けるのが得意な三男の矢三郎(やさぶろう)は、男子大学生や深窓の令嬢など、様々な人間に化けてはあちこちで騒動を巻き起こします。

 

敵対する親戚の夷川(えびすがわ)一家や、矢三郎の初恋相手の、半天狗美女・弁天(べんてん)さま。

また落ちぶれた老天狗・赤玉先生に、狸を食う人間の集団「金曜倶楽部」。

矢三郎を取り巻く面々も、とてもバラエティー豊かです。

 

やがて物語は楽しい日常から、亡き父の死の真相へとスライドしていきます。

試される下鴨一家の結束と勇気、そして家族愛。

ほのかな恋模様も絡み、ほっこりする結末です。

 

実にリアルかつ美麗な、京都や大阪の風景も必見です。

続編の「有頂天家族2」もあるので、ぜひそちらも合わせてお楽しみ下さい。

 

 

第2位:四畳半神話大系


©森見登美彦・幻冬舎/四畳半主義者の会
アニメ「四畳半神話大系」より引用
2位は、「四畳半神話大系」を。

アニメらしからぬ(?)シンプルな絵と、キャラクターデザイン。

色を抑えた画面は、不思議な味わいがあります。

アニメが苦手な方にも、オススメし易いかも?

 

ウジウジした主人公も、竹を割ったようなヒロイン・明石(あかし)さんも、悪友の小津(おづ)も、皆魅力的です。

ストーリーも、複雑なようで意外とシンプル。

 

主人公の大学生「私」が、「あの時違う選択をしていたら、もっとマシな未来があったのでは?」と考え、幾度も過去に戻り、違う道を選ぶというもの。

ただし本人にはやり直しの自覚がなく、いわゆる「パラレルワールド」ものに近いです。

 

「あの時、テニスサークルに入らなければ……」

「あの時、ソフトボールサークルに入らなければ……」

「あの時、映画サークルに入っていれば……」

と、前回と違う道を選び続ける主人公。

 

しかし結局いつも、こんなハズじゃなかった!という結末になります。

 

全ての世界線で登場する占いオババと、彼女が呟く「コロッセオ」という単語の持つ意味とは?

そして、なぜ登場するごとに、オババの占い料金は高くなるのか?(笑)

 

最後の最後に「どのサークルも選ばない」という選択をした、その時。

主人公には、どんな末路が待っているのか?

今まで言い訳ばかりで踏み出さなかった臆病な主人公が、最終話でとった行動と、その結果は?

 

友情と恋、そして平凡な毎日に隠された幸せ。

タイトルにある通り、小さな四畳半のような、身近なテーマを描いています。

オープニング・エンディング曲も、素敵なのでオススメです。

ちなみに森見作品特有の長台詞が多いのですが、声優さん達は皆、見事に演じておられます。

 

 

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第3位:夜は短し歩けよ乙女


©森見登美彦・KADOKAWA/ナカメの会
アニメ「夜は短し歩けよ乙女」より引用

 

3位は、昨年公開された劇場映画「夜は短し歩けよ乙女」をご紹介。

 

可愛いヒロイン、ポップな内容。

素敵な主題歌。

 

しかし観ていると、誰かの夢に迷い込んでしまったような、不安な気持ちになる作品です。

展開も目まぐるしく、分かり易い作品ではないと思います。

でも、それだけに何度も見たくなるパワーがあります。

 

主人公は、大学生の青年「私」。

彼は後輩の「黒髪の乙女」に恋心を抱いていますが、偶然を装って街で遭遇しても、天然な彼女はまるで気付きません。

 

夜の宴会で、夏の古本市で、学園祭で、風邪が蔓延する街で。

幾度も必死に追いかけては、的ハズレな方向に頑張る主人公。

 

飲み比べに挑む彼女を応援し、彼女の欲しがる本の為に、暑さの我慢大会に参加。

学園祭の演劇では、ヒロインである彼女の相手役に立候補し、風邪に伏せっては、妄想の世界で大冒険。

やがて的ハズレな努力は実を結び、彼女のピンチに駆けつける主人公。

 

彼は見事、恋の勝利者になれるのか?

2位の「四畳半神話大系」と同じく、臆病者が一歩踏み出す勇気と、その大切さを描いています。

 

また、ヒロイン「黒髪の乙女」の声を花澤花菜さんが。

主人公である「私」の声を、俳優の星野源さんが担当したことで話題になりました。

乙女の天真爛漫な愛らしさと天然さ、主人公の不器用で頑ななところに、とてもハマッていたと思います。

 

樋口さんと羽貫さんという、「四畳半~」のキャラクターも登場するので、両方のファンには嬉しいです。

「図書館警察」「学園祭事務局」「自転車にこやか整理軍」など、思わずニヤリとする単語も登場します。

 

また、重要人物である「李白さん」は、名前とデザインこそ違えど、「有頂天家族」のあるキャラクターと同一人物。

こういった、各作品の密かな繋がりが嬉しいのです。