2016年に放送された「ユーリ!!! on ICE」、本当にとてつもない人気を誇りました。
フィギュアスケートを題材にしておりますが、作中には元男子フィギュアスケーターの「織田信成」が本人役としてゲスト出演していました。
また、同じく元男子フィギュアスケーターの「宮本賢二」が作中全20曲の振付を担当、さらに実際に滑って撮影した映像を元に演技シーンが構成されるという拘りよう。
OPではアニメ関連に関しての楽曲は初となる「DEAN FUJIOKA」が作詞作曲を行うなど、豪華すぎる顔ぶれが集結しました。
そして放送開始間もなく、人気に火が着きました。
放送終了後もその熱は収まらず、多くのメディアによって取り上げられるほどになったのです。
目次
「ユーリ!!! on ICE」のあらすじ
「勝生勇利」はフィギュアスケート特別強化選手です。実力はある選手ですがメンタルが弱く、試合ではいつも自分の実力を発揮できないままシーズンを終えていました。
大学も卒業したため、今後の人生を考えるために故郷に帰ることにしました。
気持ちの切替えを行うべく彼は憧れの選手「ヴィクトル・ニキフォロフ」のプログラムを滑りますが、その演技を友人に撮影されており、さらにはネットに配信もされてしまいました。
しかしその一月後、「勝生勇利」の目の前に「ヴィクトル・ニキフォロフ」が現れ、コーチになると言い出したのです。
その理由が、勝手にアップされた動画を見たからだとのこと。
そうして再び始まった「勝生勇利」の二人三脚のスケート人生。
そこには強敵「ユーリ・プリセツキー」が立ちはだかりました。
彼は「ヴィクトル・ニキフォロフ」に振付を申し出たジュニア金メダリスト。
申し出を受けた「ヴィクトル・ニキフォロフ」は2人に自身振付のプログラムを託し、グランプリファイナル優勝を目指す2人は課題を乗り越えながらそのプログラムを自分のものにしようと邁進するのでした。
©はせつ町民会/ユーリ!!! on ICE 製作委員会
アニメ「ユーリ!!! on ICE」より引用
「ユーリ!!! on ICE」の感想
フィギュアスケート選手の戦いを描いた作品ですが、2人の「ユーリ」の戦いは本当に見物。
その他の選手たちも負けないくらいに個性強く描かれており、演技シーンも一切の手を抜かず、少しの見せ場にも関わらず強く印象に残るキャラばかりでした。
本作は単純にストーリーが面白いというよりも、選手1人1人を強く描いており、「ヴィクトル・ニキフォロフ」と「勝生勇利」の愛が綺麗に描写されていたから、ここまでの反響を生んだのだと思っています。
↑最初はこの部分がやたら強調されているのかなあ・・・腐女子向けのアニメなのかなあ・・・と感じていたのですが、その方向を毛嫌いしている人でも十分見ることが出来るアニメだと思います。
スケートだけでなく、スケートを通して生まれる葛藤であったり、選手とコーチの在り方であったり、2人の関係性に影響を与えるような要素が沢山ありました。
それらが結果として、2人の最高の関係、愛の形に結びつき、そのやりとりが多くの視聴者の心を射止めたのでしょう。
印象に残っているのは「ユーリ・プリセツキー」が演技後に泣いたシーンでした。
色々な思いを抱え、感情が高ぶっていることがあの1シーンで全て読み取れ、心にグッときました。
それまで闘争心をむき出しにしてきた「ユーリ・プリセツキー」でしたが、その胸に秘めた熱い思い全てが溢れ出てきたのでしょう。
実際の選手でも演技後に涙を流している選手は稀に見られます。
そこがリアルに表現されていて、感動的印象を植え付けられました。
「勝生勇利」の演技中の顔も印象的です。
コーチである「ヴィクトル・ニキフォロフ」を誘う魅惑の表情はこちらまで誘惑されそうです。
その演技中の「勝生勇利」にすっかり虜になってしまった「ヴィクトル・ニキフォロフ」ですが、最後は相思相愛どころの話ではなくなっていましたね。
キスしてペアリングを付けてしまうくらいなので。
また、「勝生勇利」が葛藤の末に叫んだ言葉も強く頭に残っています。
「僕より僕のこと信じてよ!!」という台詞。
この一言にはどれだけ多くの感情が詰め込まれていたのでしょうか。
考えるだけで言葉の意味が胸に響いてくるようで、また、なかなかこんな言葉を他人には言えないというところで印象に残っています。
もし続編の制作があるならば、「ヴィクトル・ニキフォロフ」が選手として演技しているところを見てみたいと思っています。
最後に現役復帰のような描写があったので。
そしてそこで2人の「ユーリ」と戦うだけでなく、選手として他の選手との関わり合いを描いてほしいな、と思っています。
本作はあくまでコーチとして他の選手と関わりを持っていたので。
選手目線だとまた違ったことが起きそうで、対比という意味でも是非見てみたいものです。
「ユーリ!!! on ICE」の魅力|楽曲と振付
冒頭で述べた通り、本作は振付を全て元男子フィギュアスケーターの「宮本賢二」が担当しています。
各国選手は個性豊かであり、みんな違った雰囲気のプログラムを見せてくれています。
情熱的に激しいもの、ひたすらに優雅なもの、鬼気迫るような迫力のあるもの、活気溢れるもの、本当に様々です。
各国選手のプログラムは作中で1度ずつしかお目にかかれませんでしたが、たった一度の映像で脳裏に焼き付けられるほどの濃さを見させてくれたプログラムシーンは本当に圧巻。
それほどに楽曲と振付がマッチしていたということでしょう。
本作の大きな見せ場ともなる存在です。
その中でも代表曲3曲を解説します。
1.「Yuri on ICE」
「勝生勇利」のFS曲です。
美しいピアノの旋律に乗って、流れるように「勝生勇利」が氷上で舞います。
最初はゆったりとしたテンポで進み、「勝生勇利」もそれに合わせるように激しい動きはあまり見せません。
しかし中盤、一度曲がブレイクします。
そこから後半にかけてはテンポが上がり、曲もプログラムも山場を迎えます。曲が上昇していくにつれて「勝生勇利」の表情や仕草にも熱が入り、テーマとされている「愛」が花を咲かせるように開花していきます。
「勝生勇利」の人物像と彼のテーマ「愛」を深く体感できる曲となっています。
2.「愛について~Eros~」
同じく「勝生勇利」からSPの曲。
愛の2つの側面のうち1つをテーマにした情熱的な一曲となっています。
テーマは「エロス」。
「勝生勇利」が「ヴィクトル・ニキフォロフ」を魅せるための表現を最大限に引き出すための曲。
確かにどこか艶めかしい印象を持たせてくれる曲調になっています。
そこに「勝生勇利」の誘いの演技が加わり、なんとも「エロス」に相応しいプログラムに仕上がっていました。
葛藤の末の「勝生勇利」なりの「エロス」が詰め込まれていたのではないのでしょうか。
3. 「愛について~Agape~」
もうひとつの愛の側面をテーマにした、無限の愛を表現した一曲。
これは「ユーリ・プリセツキー」のSPにて使われました。「神からの愛」や「無限の愛」という意味を含んだ曲ですが、「ユーリ・プリセツキー」は、本当に優雅な表情で滑っていました。
最初はうまく表現できていなかった「ユーリ・プリセツキー」ですが、次第に曲を自分のものにし、なんとも神々しいプログラムを見せてくれました。
ファイナルでは歴代世界最高を叩き出し、見事にこの曲を演じ切りました。
さいごに
ここまで凝って作られたアニメはあるのだろうか、そう思わずにはいられない一作でした。
今なお残る余韻は、他の作品ではなかなか味わえないものです。
アニメとして表現することが難しいであろうプログラムも個性を最大限に引き出すよう工夫が凝らされており、つい夢中になってしまうものでした。
ストーリーだけでなく、多方面から楽しめる作品です。
是非見てほしいと思います。