アニメ作品には、時に年齢が変化するキャラクターが登場します。

普段は大人でありながら、時に幼児になってしまったり、また元に戻ったり……。原因は体質だったり、不思議な道具の力だったり。

はたまた自分の意思で年齢が変化する者から、意思と関係なく変化してしまう者も……。

大人と子供、同一人物でありながら、二つの異なる魅力を持つ……そんなキャラクターをテーマに、お話させて頂きます。

 

 

幼児化するキャラクター

「ふしぎなメルモ」渡メルモ


手塚治虫/小学館・朝日放送・手塚プロダクション
アニメ「ふしぎなメルモ」より引用

 

まず「幼児化するキャラクター」の元祖と言えば、恐らく「ふしぎなメルモ」の主人公・渡(わたり)メルモちゃんでしょう。

漫画の神様と呼ばれ、日本アニメーションの父的存在でもある、故・手塚治虫先生の漫画が原作です。

1971年放送開始の作品ですが、見たことがなくても、存在は知っているという人も多いのでは?

それぐらい、有名な作品です。

 

主人公のメルモちゃんは、小学三年生の女の子。

まだ小さいのに、頑張って二人の弟の面倒を見る健気な女の子です。

彼女のお母さんは、事故で突然亡くなってしまったのです。

 

そんなお母さんは子供達の為を思い、天国から不思議なキャンディを届けてくれました。

そのキャンディの名は「ミラクルキャンディー」。

赤いキャンディを一粒食べると、十歳年をとり。

青いキャンディを一粒食べると、十歳若くなる。

 

そのキャンディを使って、九歳のメルモちゃんは大人の美しい女性に変身します。

着ている服は小さいままなので、丈や袖が短くなって、なんともセクシーな姿に……。

ちなみに大人になったメルモちゃんは、かなりのナイスバディです。

 

しかし、外見がいくら大人になっても、中身は九歳の女の子。

見た目と中身がちぐはぐで、それゆえにトラブルが起こることも。

また大人の女性だけではなく、老女になったり、はたまた赤ん坊になったりと、メルモちゃんの変身は留まることを知りません。

子供でありながら、大人。

まさに、年齢操作キャラクターの元祖と言うべき存在です。

 

 

「天上天下」棗真夜

次に挙げたいのは、「天上天下」(てんじょうてんげ)のヒロイン姉妹の姉・棗真夜(なつめまや)さんです。

彼女は、主人公の宗一郎が所属する柔剣部の部長であり、彼が想いを寄せる女性でもあります。

頼もしく落ち着いた性格であり、言葉遣いは古風。

しかし普段は、無駄な気の発散を防ぐために、自ら秘術で童女の姿に変化していることが多いです。

本来の姿は、ナイスバディな美女なのですが……。いざという時は大人の姿に戻り、ギリギリな丈の着物で華麗に戦います。

 

妹であるもう一人のヒロイン・亜夜(あや)と共に、作品を代表する女性キャラクターです。

しかし、妹の亜夜は宗一郎に想いを寄せ、宗一郎は姉の真夜に想いを寄せ、真夜はかつての想い人である、高柳光臣(たかやなぎみつおみ)に心を残し……。

柔剣部と執行部の戦いだけではなく、恋の方面でも、色々と火花を散らす面々です。

 

それにしても、苦しい過去や兄の死を乗り越え、常に皆を率いる部長として、凛とした姿を見せる真夜さん。

敵の襲撃にも慌てず、即座に対応し後輩を気遣う……将としても女性としても、そして姉としても、尊敬できるカッコイイ女性です。

 

 

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「BLEACH」ネルエル

「BLEACH」(ブリーチ)に登場する、ネルエルも外せません。

彼女は最初、小さな女の子の姿で登場しました。主人公である一護(いちご)が、砂漠で出会った幼い女の子。

彼女のピンチを救ったことで懐かれ、一護は「ネル」と名乗る彼女を守りながら、敵と戦います。

癖のある黄緑色の髪に垂れ目、抜けた歯が可愛い、無邪気な女の子です。

「ネルは〇〇ッスから!」という、不思議な訛りのある口調も印象的です。

 

ところが、強敵・ノイトラとの闘いでピンチに陥った一護を助けようとしたことで、封印されていた本来の姿に戻ります。

それは普段の幼女姿とは異なる、ナイスバディな大人の女性。

ちなみに、着ていた服は破けた上に、ピチピチの丈になります。

 

本人も忘れていた彼女の正体は、敵の集団「破面」(エスパーダ)の、元ナンバー3。

女性ながらノイトラを圧倒する実力と、同時に争いを好まない、平和主義な性格を持っていました。

 

ところがノイトラの襲撃を受け、頭部と仮面に大きな傷を受けてしまったネリエル。

そのせいで童女の姿になり、記憶も失ってしまいます。

二人の従僕は彼女の安全を第一として、幼女のままネリエルを「ネル」と呼び、守っていたのですが……。

一護との出会いで、本来の彼女の力と、姿を取り戻りました。

 

その後は、山羊のような下半身を持つ姿に変化し、大きな槍を武器にノイトラを追い詰めます。

惜しいところで効果が切れ、元の幼女の姿に戻ってしまいましたが……。

それから後、原作では華麗に再登場したものの、アニメ版での出番はほとんどありません。

幼女と大人、二度美味しいキャラクターなので、ぜひまた活躍を見たいものです。

 

 

「物語シリーズ」忍野忍


©西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト
アニメ「暦物語」より引用

 

最後は忘れてはいけない、「物語シリーズ」の吸血鬼・忍野忍(おしのしのぶ)ちゃんです。

彼女の正体は、実に六百年近く生きる吸血鬼。本来の姿は、長身でナイスバディ、そして血も凍るような、壮絶な美貌の持ち主です。

 

しかし紆余曲折の末、主人公の阿良々木(アララギ)君の影に封印されます。

「キスショット」という名前を封印し、童女の姿になり、力も殆ど失った彼女。

忍という名前を与えられ、八歳ほどの見た目の童女になってしまいました。

 

最初は屈辱的な仕打ちに、納得しかねる様子でしたが……やがて阿良々木くんに対する怒りを解き、和解します。

その後は良き相棒として、吸血鬼パワーで彼を助ける忍ちゃん。

だんだん阿良々木くんに対してデレデレになり、抱っこしてもらったり、ワガママを言ったり、行動が本当の童女のように……内面年齢は、少なからず外見に左右されるのかも?

 

しかし、相棒とのリンクが切れたり、不測の事態が起こると、途端に本来の美女姿に逆戻りします。

もちろん、力も回復するので、その実力は地球を何周も出来るほど。

見た目は二十七歳ほどの美女で、万能に近い強さを誇り、高校生の主を抱っこしてクルクル回るなど、普段とは逆の行動パターンを見せてくれたりも……。

もしかしたら、幼女姿で抱っこされたりしている、普段のお返しなのかもしれません。

 

そして、最後はやはり、普段の幼女姿で阿良々木くんの影の中に戻ることを選ぶのです。

嫌がっていたのは昔のこと、今はお人好しで危なっかしい彼と、どこまでも運命を共にする覚悟が出来ているのでしょう。

また、それを満更でもないと思っている節があります。

 

八歳から十二、十七、二十七歳と、劇場版も合わせると、実に様々な姿を見せてくれた忍ちゃん。

彼女こそ、年齢操作キャラクターのトップと呼べる存在なのかもしれません。