時間を、時代を越える……
夢がある「タイムスリップ」作品は、映画、アニメ、漫画や小説など、様々な媒体でテーマになっています。
「あの時を、もう一度やり直したい」「まだ見ぬ未来を知りたい」。
残念ながら、現実ではまだまだ夢の技術ですが……。
そんなタイムスリップもの作品を、ご紹介させて頂きます。
ぜひ、壮大にして複雑な世界に浸ってみて下さいね。
時を越えるタイムスリップアニメまとめ
天地無用! in LOVE
(C)1995 AIC/GENEON ENTERTAINMENT INC.
アニメ「天地無用!」より引用
懐かしの「天地無用!」シリーズ。
OVAやテレビアニメ、劇場版アニメなど、様々な派生作品があります。
設定が少しずつ異なり、どれも面白いのですが……今回取り上げる「in LOVE」は、まさに「時を遡る」がテーマの、タイムスリップもの。
絵柄、主題歌、ゲストヒロインのどれもが素晴らしく、特に好きな作品です。
ちなみに、劇場公開映画でした。
主人公の柾木天地(まさき てんち)は、一見地味で優しい、岡山に住む平凡な高校生男子です。
しかし実は、祖父が「樹雷」(じゅらい)という星から来た、宇宙人という秘密が……。
その縁で、彼の家には宇宙からの美少女が続々と集まり、しかも皆、天地の魅力に惚れて押し掛け女房状態に。
元祖「ハーレムもの」作品でもあります。
セクシーな女海賊・魎呼(りょうこ)、樹雷の皇女・阿重霞(あえか)、その妹の沙砂美(ささみ)、宇宙警察の美星(みほし)と、清音(きよね)。
天才科学者の鷲羽(わしゅう)……。
そして今回のゲストヒロインは、なんと天地の亡き母親、「阿知花」(あちか)です。
なぜ、故人がヒロインなのか。
それは、天地と仲間達が過去の世界にタイムスリップしたから。
きっかけは突然、天地が消滅しかけたこと。
誰かが過去に干渉したせいで、天地の存在が最初から、無かったことにされかけている……。
そうはさせまいと、皆は原因を突き止める為に過去へ飛びました。
辿り着いたのは、天地の母が高校生だった昭和の時代。
母・阿知花と、クラスメイトだった父・信幸(のぶゆき)。
二人のクラスに、転校生としてやって来た一堂。
若き日の母を見て、感無量の天地。
彼にとって、幼い頃に亡くなった母親は特別な存在でした。
今は中年親父の信行も、当時は純情な高校生男子です。
阿知花と憎からず想い合っていても、お互いに言い出せず……。
大きな目に、長い黒髪を束ねたポニーテール。
クラシックなセーラー服がよく似合う阿知花は、なかなかの美少女です。
本人は知らないことながら、宇宙人の父と、地球人の母の間に生まれた彼女。
実はそこに、今回の騒動の原因が……。
樹雷皇家に怨みを持つ囚人・禍因(かいん)が、収容されていたギャラクシーポリスの牢獄から脱獄していたのです。
過去の阿知花を狙い、皇家を根絶やしにしようとする禍因は、結ばれる前の天地の父母を狙います。
そうはさせじと奔走する、息子の天地と仲間。
しかし信幸と阿知花は、修学旅行先の東京タワーで連れ去られてしまい……絶体絶命の一同。
しかし、目の前で信幸を傷つけられた怒りで、阿知花は樹雷皇家の力を目覚めさせました。
黒い髪は水色になり、顔には独特の紋様。
そして、樹雷独自の、和服を思わせる装束。
目覚めた阿知花は凛々しく、強さも圧倒的でした。
薙刀に似た武器で勇ましく戦い、禍因を消し去った阿知花。
未来へ帰る前に、皆と阿知花は言葉を交わしました。
歴史を変えない為、彼女の記憶を消す必要があると説明する阿重霞(叔母)に、阿知花(姪)は微笑んで頷きます。
力に目覚めた時、全てを理解したと。
天地達の正体も、自分がやがて早世することも、未来が全て見えたのだと……。
「私はこの時代で、信幸くんと生きていく」と、運命を受け入れる阿知花。
そして彼女の記憶を消し、天地達は未来へと帰還しました。
元の時代に戻った天地は、一人物思いに耽ります。
急激に樹雷の力に目覚めたことが負担になり、それが母を短命にしたのではないかと……。
しかし、例えそうだとしても、過去は変えられません。
短くても母は精一杯生き、自分をこの世に残してくれた。
そんな風に天地が思えたら、良いのですが。
どこかノスタルジックで切ない、不思議な余韻の残る映画です。
ちなみに阿知花の声を担当したのは、林原めぐみさん。
主題歌の「愛の錬金術」も歌っており、これがまた、とても良い曲です。
レンタルDVDなどで、ぜひ一度視聴してみて下さいね。
ちなみに「天地無用!」の別の映画「真夏のイブ」では、天地の娘を名乗る少女が登場します。
タイムスリップものではありませんがどこまで行っても、女難の主人公・天地……。
ドラえもん
藤子・F・不二雄/ テレビ朝日、シンエイ動画、ADK→ADK
アニメ「ドラえもん」より引用
そして、もう一作品ご紹介したいのは、やはり「過去に行く物語」です。
それは劇場公開短編映画、「おばあちゃんの思い出」。
主人公ののび太くんが、幼い頃好きだった熊のぬいぐるみをキッカケに、亡きおばあちゃんを思い出し、過去へタイムスリップする物語です。
今は小学校5年生ののび太くんですが、当時はまだ3歳の幼児。
もう秋なのに花火をしたいとねだったり、ワガママでおばあちゃんを困らせます。
そんな過去の自分を見たのび太くんは、反省しきり。
正体を明かさずおばあちゃんに接触し、言葉を交わします。
一緒に過ごすうちに、おばあちゃんは
「せめて、のび太が小学校に上がるまで生きていたい。小学生になった姿を見たい」と呟きます。
実際には、おばあちゃんは孫の入学を待たず亡くなるのですが……。
その言葉を聞いたのび太くんは、正体を明かすことを決意します。
一方、「未来から来たのび太だ」と言っても信じて貰えないのでは……、と心配するドラえもん。
確かに、もっともだと思いますが……。
一度未来に帰ったのび太くんは、黒いランドセルを背負って再びおばあちゃんの前に現れます。
「ぼく、のび太です。信じて貰えないかもしれないけど、小学5年生になった、のび太です」
それに対するおばあちゃんの答えは、「信じますとも。そんな気がしていましたよ」と、いとも簡単に受け入れるものでした。
「ワガママばかり言ってゴメン」と自分を責めるのび太の頭を、優しく撫でるおばあちゃん。
小さくて、いつもニコニコ笑っている、優しいおばあちゃん。
しかし小さな身体には、孫の全てを肯定し受け入れる、無限の器がありました。
「のびちゃんのおばあちゃんで良かった」という台詞には、思わず視聴者も貰い泣き。
こんな風に、無条件に自分を受け入れてくれる人がいるって、幸せなこと。
そんな風に思える、優しく暖かい映画です。
懐かしい祖父母の顔を、思い出しながら。