恋愛アニメのバイブルとも呼べる「とらドラ!」。

ライトノベルが原作で、2008年にアニメ化されました。

 

本作は主人公の逢坂大河と高須竜児の恋愛を主軸に物語が展開されていきますが、その他にも友人関係や家族関係など、多岐にわたる要素が含まれています。

視聴者の胸に突き刺さるような、高校生の等身大の問題が沢山取り上げられ、つい夢中になってしまうような作品。

放送から10年経っても未だ多くのファンがおり、愛されている作品と登場人物たち。

 

今回は物語をどこまでも引き立ててくれたキャラクターたちの紹介を軸に、「とらドラ!」の魅力を感想と共に展開していこうと思います。

まずは簡単なあらすじから。



アニメ「とらドラ!」のあらすじ

高校生の高須竜児は、父親譲りの目つきの悪さからヤンキーと言われ恐れられています。

 

毎回クラスが変わる度に、時間をかけてその誤解を解かねばいけませんでしたが、今回は割とあっさりと誤解が解けました。

逢坂大河という少女と出会ったからです。

 

大河は竜児の親友である北村祐作に恋心を抱いています。

 

あるとき、大河は祐作の鞄にラブレターを忍ばせましたが、実はそこは竜児の鞄…。

間違ったことに気付いた大河は竜児宅に木刀を掲げ乗り込み、ラブレターを奪取しようとします。

 

それをきっかけに大河は祐作を、竜児は大河の親友、櫛枝実乃梨を好きなことを知ります。

 

そこで、共同戦線を張った2人。

お互いが上手くいくようにと一緒に行動することが増えていきますが、次第に2人はお互いの素顔を知って惹かれていくように・・・。

複雑に絡んだ恋愛の矢印に苦悩する2人、周囲の人々も含んだいくつもの思いが交差する、学園ラブコメディ作品となっています。

 

 

アニメ「とらドラ!」の感想

さっきのあらすじを読んで「あ、ありきたりなヤツだ・・・」と思ったそこのあなた。

・・・

その通り!笑

 

ストーリーの軸としてはありがちな恋愛ストーリー。

最初にお互いに好きな人がいながらも、協力し合って応援しあううちに互いに惹かれてしまう・・・というストーリーはよく見ますよね。

 

じゃあ何で「とらドラ!」という作品が名作に名を連ね、今でも人気を獲得し続けているのかと言うと・・・

その理由もまた「王道」だらかだと僕は分析しています。

 

やっぱりね、王道は王道だからこそ王道なんです。笑

 

多くの人の心に刺さり、多くの人が理解しやすく、多くの人が感動する。

だからこそ、王道は歴史が長いながらも人々に親しまれ、愛されているんだと思います。

 

「君の名は。」で一躍有名になった新海誠監督。

 

(C) 2016「君の名は。」製作委員会
劇場アニメ「君の名は。」より引用

 

しかし、「君の名は。」以前から新海作品ファンの方からは「新海誠、王道に走った!」というやや批判的な意見が多く上がりました。

それでもあそこまでのヒットを飛ばしたのは、やっぱり王道の要素があったからに他ならないと思います。

 

そこに、元々の新海誠監督の魅力である「作画のきれいさ」「宇宙」「恋愛」などの要素が加わり、

さらに「音楽を映画の軸に置く」という斬新な要素・オリジナル要素も加えることによって爆発的なヒットを飛ばしたと僕は分析しています。

 

じゃあ、「とらドラ!」におけるオリジナル要素とは何か。

よくいる耳が遠い系鈍感少年が登場し、ハーレムチックな展開があり、まさに王道要素が多数ちりばめられていますが・・・

そんな「とらドラ!」のオリジナリティ・・・それが主要の女の子3人におけるそれぞれの心情・立場です。

 

「とらドラ!」には・・・

 

逢坂大河

竹宮ゆゆこ/アスキー・メディアワークス、「とらドラ!」製作委員会
アニメ「とらドラ!」より引用

 

櫛枝実乃梨

竹宮ゆゆこ/アスキー・メディアワークス、「とらドラ!」製作委員会
アニメ「とらドラ!」より引用

 

川嶋亜美

竹宮ゆゆこ/アスキー・メディアワークス、「とらドラ!」製作委員会
アニメ「とらドラ!」より引用

 

という3人の女の子が軸に物語が展開していきます。

 

物語が進んで行くにつれてそれぞれの想いというのは痛いほど伝わってくるのですが、個人的には「とらドラ!」の後半のエンディングテーマ「オレンジ」を

  • 歌詞をよみながら
  • 誰がどのパートを歌っているのか

を確認しながら聞き込んで欲しい。

 

「あー、やっぱりそういう気持ちだったんだ」としみじみ感じ、思わずうっすら泣けてきます。

 

その結果、僕は「恋愛アニメランキング」で「とらドラ!」を第4位に上げています。

お時間があればコチラの記事もどうぞ。

 

さて、ココからはその3人に焦点を当てて解説をしていきたいと思います。

もう少々お付き合い下さい。

 

 

スポンサーリンク



 

 

「とらドラ!」のメインヒロイン逢坂大河

まずはヒロイン、大河から見ていきましょう。

小柄でお人形のような風貌をしている彼女。

しかし性格は正反対で凶暴そのもの。

 

付いたあだ名は「手乗りタイガー」。

 

竹宮ゆゆこ/アスキー・メディアワークス、「とらドラ!」製作委員会
アニメ「とらドラ!」より引用

 

しかし実は結構なドジっ子で可愛い一面も持っています。

そんな大河ですが、物語は大河の揺れる恋心、友人の幸せを願うがための苦悩により、波乱万丈な展開を演出してくれています。

 

まず恋心について。

最初、大河は竜児の親友の祐作に恋をしているところから始まります。

凶暴で強気な発言を沢山する大河ですが、祐作の前では緊張のあまりドジをしたり、失敗を繰り返してしまいます。

そもそも大河と祐作はさほど共通点がなかったのですが、竜児との共同戦線のおかげできっかけが大幅に増えていきました。

 

しかし告白をするも残念ながら撃沈。

・・・が、意外なことに、大河はこのときそこまで酷い落ち込み方をしていなかったんですね。

 

もしかすると、そのときには既に隣にいた竜児の存在が心の支えになっていたのかもしれません。

その後、竜児とみのりんの恋を成就させるために協力していた大河でしたが、あるとき自分が竜児に恋心を抱いていることに気付きます。

そしてほぼ同時にみのりんは竜児に惚れていることにも気付きます。

 

しかし竜児と、誰よりも大切な親友みのりんの幸せのためにとその思いを隠すことに。

胸いっぱいに溢れ出る竜児への気持ちでしたが、それを隠していた大河の苦しんでいる場面は胸が詰まる思いでした。

 

特に大河が外で竜児の名前を泣き叫ぶシーンは、本当にどれだけの視聴者の胸を抉ったことでしょう。

 

竹宮ゆゆこ/アスキー・メディアワークス、「とらドラ!」製作委員会
アニメ「とらドラ!」より引用

 

自分の恋心を固く閉ざして親友の幸せを願うというのは、こんなにも苦しいものなのかということを生々しく表現していたシーンでしたね。

とても印象に残っています。

 

最後は竜児と丸く収まりましたが、物語の中で視聴者に何かを訴えるのは大河の気持ちが大半を占めていたでしょう。

コロコロ変わる表情や、可愛らしい仕草なども魅力的でしたが、作品全体の緩急をここまで操るのか、というほど、沢山の思いを伝えてくれたキャラでした。

彼女1人の動きだけでも本作が十分楽しめます。

 

 

「とらドラ!」のサブヒロイン櫛枝実乃梨

お次は櫛枝実乃梨ことみのりんです。

この子がいたから「とらドラ!は深みをグッと備えたと言っても過言ではないでしょう。

というのも、みのりんは親友、大河のために全力を出し切るのです。

詳しく説明しますね。

 

まず、みのりんという人物についてですが、非常に明るい性格で大河の大親友というキャラ。

いつもニコニコ笑っていて、その笑顔で周囲を明るくする太陽のような子。

 

しかしその笑顔で何でも隠してしまう子でもありました。

 

みのりんはそれまで竜児とあまり接点もなかったのですが、ある出来事をきっかけに交流する機会が増えます。

そして竜児に恋心を抱きます。

 

しかし大親友、大河が竜児に好意を寄せていることに気が付いたみのりんは、その思いを笑顔の裏に隠しました。

つまり、みのりんも大河も竜児を思いながらもお互いの幸せを願い、お互い思いを封印してしまったということ。

 

ここでみのりんは実に大胆な行動に出ます。

竜児と面と向かうことを避けた大河に向かって本気で怒りをぶつけます。

 

「階段を駆け下りて大河に怒鳴る」というとらドラ!では有名なシーンです。

 

その前には竜児に向かっても激昂してました。

 


竹宮ゆゆこ/アスキー・メディアワークス、「とらドラ!」製作委員会
アニメ「とらドラ!」より引用

 

「わたしの幸せはわたしが決める!」

「わたしがこの手で掴み取るんだ」。

 

このセリフは名言として記憶に強く残りました。

 

親友に遠慮され、プライドが傷ついたのでしょうか…。

あの怒り方は尋常ではなかったですが、友情も恋の三角関係も、拗れに拗れていた紐をみのりんが解いたんですね。

 

この熱さと大河に対する強い思いがあったから、物語は大きく動きました。

そして作品を通しての見どころトップ3に入るくらい良いシーンになりました。

 

視聴した方でも印象に残っている人は多いのでは?

という具合で、恋愛要素だけでなく熱い友情も取り入れてくれたのがみのりんだったんです。

この子がいなければ、単純な恋愛作品で留まっていたかもしれません。

 

勿論、彼女なりに苦悩はあったのでしょうが…。

 

 

「とらドラ!」のサブヒロイン川嶋亜美

最後はこの子です。

川嶋亜美ことあーみん。

この子がいなければ単調な作品になっていたのは間違いありません。

 

転校初期はぶりっ子のような誰にでも親しげに接していたあーみん。

しかし本当の性格は腹黒さを備えたブラック女子でした。

 

彼女はとことん大河やみのりんと相性が悪く、よく突っかかっていました。

・・・というのも、彼女はとある出来事をきっかけに、みんなの前で素の自分を曝け出すことを決意しました。

あーみんは他人から「嫌われたくない」と思いを抱きながらも、あまりウケの良い性格でない「素の自分」を出しました。

 

しかし大河とみのりんは、先ほども解説をしたようにいつも自分の気持ちを偽っている・・・それを妬ましく思ったのでしょう。

 

特にみのりんとは一時険悪な雰囲気になりました。

みのりんは大河を思って竜児からの告白を無かったことにし、しかし友達関係は続けていて、そんなおままごとのような態度で竜児に接していることがあーみんにとっては許せないことだったのでしょう。

 

要は「お前も本性だしなさいよ」ということですね。

そして憎まれ役を買って出てまで、「ぐちゃぐちゃにする」宣言をします。

 

竹宮ゆゆこ/アスキー・メディアワークス、「とらドラ!」製作委員会
アニメ「とらドラ!」より引用

 

その通り、起爆剤のようにぐちゃぐちゃにしていましたが、その裏には大河やみのりんを思って故の温かい気持ちもちゃんと備わっていました。

本当は嫌われることが怖いくせに…。

なんて良い子なんでしょう。

 

そして実際、あーみんの言葉に感化されて大河もみのりんも行動を変化させていました。

これが2人の熱いシーンの起爆剤になっていたという訳ですね。

この子なくして大河もみのりんも大きな決断を下せなかった。

 

一見、嫌な女っぽく感じられますが、実は重要なポジションにいた人物だったあーみんでした。

そして彼女も竜児に思いを寄せていながら・・・最終的には思いを伝えそびれた最も不遇な子でもありました。

 

 

 

さいごに

メイン3人の女性キャラクターの紹介から物語について触れてみましたが、本当にどの子も印象的なシーンを作り出してくれた功労者ですね。

誰1人欠けてはこの名作は生まれなかったでしょう。

どの子も思い思いに悩んで苦しんでいましたが、それでも全員が壁をぶち破って、最後のハッピーエンドに向かっていっていました。

 

これだけ書いても説明しきれない「とらドラ!」の魅力、一気見してしまえるくらい面白いので是非見てほしいです。

もちろん他のキャラクターも魅力に溢れています。

今回は紹介しなかった「生徒会長」と北村祐作の恋路もめちゃくちゃ泣けます・・・。

 

是非、ご覧下さい。