アニメには、色々な作品があります。
見た後に、元気が出るもの。
前向きになれるもの。
気分が落ち込むもの、または切なくなるもの……。
今回は、そんな中から「見た後に、切ない気持ちになるアニメ」をご紹介させて頂きます。
目次
見た後に切ない思いになるアニメランキング
切なさ……それは作品を語る上で、決して外せない要素。
その人の好みや、観た時の精神状態にもよりますが……明るくハッピーな物語より、切なく胸に刺さる物語のほうが好き、という方は一定数いると感じます。
もちろん後味が悪い作品ではなく、どこか爽やかな気分になれることが大前提なのですが。
今回はそんな、「切ないアニメ」をご紹介させて頂きます。
あなたの好みに合うかは不明ですが、ぜひ一度視聴してみてください。
第7位:3月のライオン
©羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会
アニメ「3月のライオン」より引用
同じ原作者の「ハチミツとクローバー」も切なさを秘めた作品でしたが、味わいはもっとずっとマイルドでした。
しかし、本作はずっと鋭く厳しく、そして切ないです。
だからこそ、最後の感動も大きい。
主人公の桐山零くんは、17歳のプロ棋士。
中学生でデビューし天才と呼ばれていますが、幸せな人生とは言えません。
- なぜなら、幼い頃に事故で家族を亡くし、父親の友人に育てられたこと。
- 自分の才能のせいで、養父の家庭を壊してしまったこと。
- そして彼にとって選べる道が、将棋しかなかったこと。
零くんにとって将棋は「好きで選んだ道」ではなく、「他に選べず、それしかなかった道」なのです。
特に養父の期待が自分に向いてしまい、実の子供達の居場所を奪ってしまったことで零くん自身も傷ついています。
養家の実子達、特に姉の香子とは、互いに愛憎混じる複雑な感情を抱いている零くん。
だからこそ、養家を出るしかなかった彼は自分を「カッコウの子供だ」と自嘲します。
そして一年遅れで入学した高校でも馴染めず、年より落ち着いた零くんは、同級生より年上のほうがコミュニケーションしやすく、担任の林田先生に見守られながら、何とか毎日をやり過ごしていました。
何にも情熱を持てず、居場所もないまま。
そんな零くんの前に現れたのが、三姉妹と祖父の川本家。
©羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会
アニメ「3月のライオン」より引用
傷付いた野良猫を保護するように、ごく自然に零くんを招き入れ、ご飯を振る舞います。
最初は戸惑っていたものの、古い家の懐かしい空気に少しずつ馴染んでいく零くん。
川本家には、彼が忘れていた暖かい団欒がありました。
それは心地よく、しかし亡くした家族を思い出す切ない時間でもあり・・・最初は遠慮がちに訪れていた零くんですが、やがて少しずつ川本家の抱える問題が見えてきます。
川本家の皆も、決して幸せいっぱいではありません。
母と祖母は亡くなり、なぜか父親の話はタブー。
頼もしい祖父と叔母はいるけれど、時々明るい笑顔の影にふと心細さが滲みます。
いつしか、彼女達の力になりたいと思うようになった零くん。
そんな中、次女ひなたが中学でいじめの標的に。
零くんは、自分に出来ることを必死で探します。
今まで支えられてきた彼が支える側になった瞬間。
零くんにとって、大切な三姉妹の苦しみは自分の苦しみなのです。
辛くても逃げたくないと戦うひなた。
妹を支えながら、心細さを堪え自分も傷つく姉、あかり。
幼い無邪気さで、皆を和ませる末娘・モモ。
それぞれの世界で、戦っている皆。
そして将棋の世界でも、仲間や敵との出会いが零くんに変化をもたらしました。
スランプと戦いながら周りを気遣う兄弟子・島田。
先天的な病を抱えながら将棋の道をひた走る戦友・二階堂。
それぞれに一進一退する先輩のスミス達。
最年長の柳原もたくさんの期待を背負い、老いや衰えを抱えて戦い続けています。
トップに君臨する宗谷名人も、天才にしか見えない彼だけの孤独な世界を生きています。
そして、視聴者は気付かされます。
学校で、家で、職場で、誰もが戦っているということに。
零くんにとって選ばざるを得なかった、棋士という道。
でも、そこに「勝ちたい、負けたくない」という熱い想いが在ったことに彼は気付きます。
「自分には、これしかない」と、改めて将棋と向き合い選び取った零くん。
将棋は辛く切ないだけのモノではなかったのです。
離れて暮らしても自分を気遣ってくれる養父とも、プロ同士として再会出来ました。
学校でも林田先生を通じて、科学クラブの仲間という居場所と出会います。
生きることは切なさや辛さが付きまとうけれど、頑張り続ける者には必ず、道が開ける……そんなことを感じるこの作品。
ぜひ一度、視聴してみてください。
オープニング・エンディングの曲や映像も含めてとても素敵なシリーズです。
第6位:人魚の森
高橋留美子/小学館・テレビ東京、トムス・エンタテインメント
アニメ「人魚の森」より引用
3月のライオンと違い、少しファンタジー要素のある物語。
同じく現代日本を舞台にしていながら、主人公は五百年前から生き続ける不老不死の青年。
湧太は見た目は普通の若者ですが、実は五百年前に人魚の肉を食べ、不老不死になった身です。
普通の人間に戻る為、人魚を探して放浪し続けて数百年・・・出会う者は皆この世を去り、共に歩める者もいません。
「一人ぼっち」を宿命づけられた湧太ですが、ついにある隠れ里で人魚と出会います。
しかし彼が告げられたのは、残酷な真実・・・「人魚に出会っても普通の人間に戻ることは出来ない」ということ。
救いの道は「首を斬り落として死ぬか、人魚の死体から作った毒で自害するか、その二つしかない」ということ。
湧太はどちらでもなく、初めて出会った自分以外の不老不死の存在である真魚と共に、不老不死のまま生き続けることを選びます。
「飽きるまで生きてみるってのも、悪くねえよな」
恐らく一人ではなく、共に歩める相手がいるから選べた道なのでしょう。
永遠に若いままの二人は、あてもなく彷徨い続けます。
容姿が変わらないので、一か所に留まることが出来ないのです。
そこで出会うのは、人魚に関わり、人生を狂わされた者達。
- 若い姿のまま生き続ける姉と、普通に年をとった妹。
- 人魚の肉で化物の姿になってしまった男と、彼を仕留めようとする猟師。
- 孫に人魚の肉から作った薬を与え、永遠に傍に置こうとする祖母。
- そんな母親に、我が子を奪われた息子。
- 一度殺され、死体から蘇った女性。
- 子供の姿のまま八百年も生き続ける少年と、彼のせいで怪物になった女達。
「不老不死になってしまった不幸」と、「不老不死に魅せられ、人生を狂わされた不幸」が共に描かれます。
何にせよ、人と違うのは辛いこと。
あんなに大勢の人が求めてやまない不老不死なのに、それを手に入れた湧太達を見ると必ずしも幸せでないと思わされます。
欲望や願いに翻弄され、道を踏み外す者達の姿は切なく。
それでいて、とても人間臭いと感じます。
「人魚の森」には、人間のどうしようもない切なさが詰まっています。
こちらもオープニング、エンディング曲がとても素敵なのでぜひ視聴してみて下さい。
第5位:るろうに剣心 追憶編
©和月伸宏/集英社・アニプレックス
アニメ「るろうに剣心ー明治剣客浪漫譚ー 追憶編」より引用
続いては「るろうに剣心 追憶編」。
OVAながら傑作と名高い名作です。
テレビシリーズと違い血しぶきや残酷な戦いがストレートに描かれており、受け付けない人もいるかもしれません。
ギャグもほとんどなく、劇画調のリアルな絵柄。
基本的に暗い雰囲気が続きます。
しかしそれだけに主人公達の葛藤や心の揺れが細かに伝わり、感動もひとしおです。
テレビシリーズより、十年以上前の時代。
まだ少年だった主人公が幕末の京都で人斬りをしていた頃の物語。
天涯孤独だった幼年時代、剣の師匠と出会って「剣心」(けんしん)という名を授かった彼。
剣を学んだ主人公は、その力を世の中に役立てたいと師匠の許を飛び出しました。
しかし、気付けばひたすら暗殺を繰り返す日々……。
平和の為という理念から、いつの間にか離れてしまった……悩みながらも斬り続ける中で心身をすり減らしていきます。
そんな中、暗殺現場を一人の女性に目撃されてしまいます。
彼女の名前は、雪代巴(ゆきしろともえ)。
©和月伸宏/集英社・アニプレックス
アニメ「るろうに剣心ー明治剣客浪漫譚ー 追憶編」より引用
目撃者を消すことも出来ず、成り行きで彼女と同居を始める剣心。
感情をあまり見せない彼女ですが、共に過ごすうちに、お互いに少しずつ距離を縮めていきます。
巴と出会い、久々に人間らしい感情を取り戻していく剣心。
巴も、剣心の人となりを知り、彼に惹かれていきますが…・・・実は彼女には、驚きの秘密があったのでした。
その事実が判明した時、剣心と巴の前に、残酷な運命が口を開けていたのでした。
語られなかった、巴の悲しい秘密。
彼女を失いたくないと、血まみれで必死に敵と戦う剣心。
雪の降る中、山道を必死で進む彼の姿に、痛々しさが滲みます。
そして迎えた、悲しい別れ。
ネタバレになるので詳細は省きますが涙無しには見られない場面です。
短いけれど、確かな幸せを感じていた二人の時間。
ラストで、また人斬り生活に戻った剣心ですが彼の肩には巴の肩掛けがありました。
剣心の傍には、今も巴の心が寄り添っていると思わせる……。
幻の巴が、後ろから剣心を抱き締める、一瞬の描写にまた涙が滲みます。
原作やテレビシリーズと離れた、一つの作品として完成しているOVAです。
時代劇として、実写ドラマに出来そうなお話でした。
第4位:鬼物語
©西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト
アニメ「鬼物語」より引用
次に挙げたいのは、「物語シリーズ」の中の「鬼物語」(おにものがたり)です。
タイトル通り、吸血鬼の忍野忍(おしのしのぶ)ちゃんの過去に触れる内容なのですが・・・実は、裏の主人公は幽霊の少女・八九寺真宵(はちくじまよい)ちゃんなのです。
物語は、主人公の阿良々木(あららぎ)君と、年の離れた友人・八九寺ちゃんが、謎の存在「くらやみ」に遭遇する場面から始まります。
名前通り、全てを吸い込む真っ黒な「くらやみ」。
ブラックホールのようなそれから、必死で逃げる二人。
式神少女の斧乃木(おののき)ちゃんの助けもあり、なんとか距離を稼いだ先で、忍ちゃんの過去語りを聴いたりもします。
実は忍ちゃんも、四百年前に「くらやみ」と遭遇していました。
その理由は、彼女が吸血鬼でありながら、神を騙ったから。
そう、先ほど八九寺ちゃんが狙われた理由も同じことでした。
それは彼女がいつまでも成仏せずに現世に留まっていたから。
交通事故で命を落とし、十一年もの間、一人ぼっちで地縛霊をしていた八九寺ちゃん。
3ヶ月前に阿良々木君に救われてからは、彼の友人として丁々発止の舌戦を繰り広げてきました。
そんな時間を、心から楽しんでいた二人。
この時間がずっと続いて欲しい……そんな健気な願いは、本来ならば許されないものでした。
「何でも知ってるおねーさん」こと臥煙(がえん)さんに種明かしをされて、呆然とする阿良々木君。
このままでは、皆に迷惑がかかってしまう。
成仏します、という八九寺ちゃんに、阿良々木君は反発します。
「諦めるな!僕が、ずっとお前と一緒に放浪してやるから!」
そんな彼を、年下の八九寺ちゃんが宥めます。
「阿良々木さんと過ごした、この三ヶ月は……私が一人で過ごした十一年を、充分埋めてくれましたから」
涙を堪えて、八九寺ちゃんは提案します。
「いつものアレ、やりましょうよ」
会う度にやっていた、名前をネタにした、夫婦漫才のようなやり取り。
せめて、とっておきの返しをしてやろう……そう決心した阿良々木君が振り向いた、その時。
音もなく近寄っていた八九寺ちゃんの顔が、目の前にありました。
斧乃木ちゃんに肩車された彼女は、そのまま阿良々木君にキスをしました。
驚きに固まる阿良々木君。
やがて離れた八九寺ちゃんは、涙を流しながら精一杯の笑顔を浮かべます。
「大好きでしたよ、阿良々木さん」
いつもぞんざいな扱いをしていた彼に、初めての素直な言葉を告げた彼女。
あまりに素敵で、そしてあまりに切ない、別れの名場面です。
十歳の少女の、可愛い告白と共に……。
物語シリーズの中でも、屈指のこの場面。
まあ、ネタバレしてしまうと、後に八九寺ちゃんは復活するんですが。
「終物語」で、華麗に(笑)。
しかも神様として、グレードアップして。
しかし「鬼物語」の時点では、そんなことは分からず。
視聴者は皆、涙を絞られました。
いつも傍にいた、八九寺ちゃんがいない……なんとも寂しく、切ない結末でした。
基本的にハッピーエンドが多い「物語シリーズ」にしては、珍しく切ない後味のお話です。
第3位:蛍火の杜
©緑川ゆき・白泉社/「蛍火の杜へ」製作委員会
劇場アニメ「蛍火の杜」より引用
続いては「蛍火の杜」。
好きな人に触れることが出来ない・・・そう言われてたらあなたはどうしますか?
そもそも、そんな人を好きになれますか?
その状況を知っているにも関わらず、受け入れ引かれていく人間と怪かしの物語。
この作品を見ると「好き」って言う感情は一体何なのか考えさせられてしまいます。
触ることが前提の好き?
体を求め合えないと好きにはならない?
相手の体温を感じられなければ好きって感じられない?
いや本当に好きならば、きっと触れることが出来なくたって・・・言葉を交わし、目を見つめ合い、ソコにいてくれるだけで胸が締め付けられ、大切にしたいと思えるはずです。
しかし触れることが出来るという状況が当たり前すぎて、好きという感情がどこか安っぽくなりつつあるのが現代の人間。
きっと「好き」って感情はもっともっと尊いものなんだと思います。
「蛍火の杜」では、最後の最後にやっと触れることが出来ます。
しかし、それと同時に夢が溶けたかのような切ない思いで一杯になってしまいます。
涙必須・・・感動はするのですが、どこか切なく、しかし心が満たされるという不思議な感情に包まれます。
第2位:凪のあすから
©Project-118/凪のあすから製作委員会
アニメ「凪のあすから」より引用
第2位は「凪のあすから」。
片思いが大渋滞し、色んな思いが交錯する「凪のあすから」。
長年思い続けた感情が実を結ぶ人もいれば、
やっとその思いに気付いてもらえた人もいれば、
今後一生その思いが成就することが無いと分かっている人もいる。
女性の心情を描く事には定評がある「P.A.works」さんが制作した、片思い作品の決定版。
しかし、それでいてドロドロし過ぎるような演出は無く、その感情を舞台である「海」の動きに沿って非常にキレイな作画と共に描いています。
どうしようもなく切ない思いになりますが、見た後には必ず幸福感で満ちあふれます。
なかなかアニメの名作が登場しない昨今、この作品は名作として名を上げても良いと僕は思っています。
第1位:秒速5センチメートル
新海誠/ コミックス・ウェーブ
劇場アニメ「秒速5センチメートル」より引用
切ないアニメ決定版と言えば「秒速5センチメートル」ですね。
「君の名は」で大ヒットを記録した新海誠作品の中でも、根強いファンがいる名作。
っていうか、新海作品のファンの中では「君の名は」よりも好きな作品として名前を挙げる人が多いですね。
「君の名は」同様、作画はめちゃくちゃキレイで、宇宙や空、桜が舞い散る様子がとにかくキレイです。
ストーリーは、小学校時代に体が弱く、本をたくさん読んでいた2人が思いを通わし・・・
その当時の思いを社会人になっても引きずる男性と、ある程度すぱっと区切って前に進み続ける女性のお話。
「恋」に関して男女の典型的なもようを描いた作品ですね。
僕も高校時代にした恋愛を今でも引きずっています。笑
男ってのは、ホント弱くて駄目ですね・・・。(^_^;)
全然ハッピーエンドでは無いのですが、「それが人生だよね」と思わせるような作品で、切なさを目一杯感じますが、不思議とどこか爽快感もあり・・・明日も頑張るかと思えるような作品ですね。
見た後、明るい気持ちになる作品も良いけれど、時にはしんみりもしたいもの……。
そんな時に、上記の作品達はオススメです。
ぜひ一度、視聴してみてくださいね。