うさん臭い……それは敵ではないのに、なぜか油断出来ない、と思わせる人物を指します。

怪しい風体と言動。そして笑顔。

今回はそんな、なぜか「うさん臭い」と思わせる、愛すべ喰わせ者達をテーマに、お話させて頂きます。

 

 

胡散臭いキャラクターランキング

第位1位:「四畳半神話大系」樋口清太郎


©中村佑介・森見登美彦/四畳半主義者の会
アニメ「四畳半神話大系」より引用

 

まず挙げたい、怪しさ満点の人物。

それは「四畳半神話大系」及び「夜は短し歩けよ乙女」に登場する、樋口清太郎(ひぐちせいたろう)氏です。

四畳半~の主人公である「私」には、樋口師匠と呼ばれています。

 

樋口氏はナスのような長い顔にノンビリした笑みを浮かべ、常に古い浴衣を着ています。

足元は下駄ばきで、口元には葉巻。

そんな年齢不詳な樋口師匠ですが、実は大学生です。しかも、八回生。

しかし少しも焦ることなく、毎日ふわふわと楽しそうに暮らしています。

 

学生なのに学校に通う様子がなく、さりとて、働いている様子もなく。

なのに焦らず、飢える様子もなく。

弟子達と闇鍋大会をし、同窓生の城ヶ崎と嫌がらせ合戦をし、飲み友達と学園祭でコタツに入ったり……。

天狗を自称するだけあって、煙に乗って宙に浮かぶなどの、不思議な芸も披露します。

 

主人公と同じ「下鴨幽水荘」というボロアパートで、弟子達の貢ぎ物だけで暮らす樋口氏。

師匠?一体、何の師匠?と思いますが、それは誰にも分かりません。

それでも弟子達に慕われ、敬われているのが、樋口さんの凄いところです。

 

時には真顔で「縁結びの神」を名乗る樋口さん。

主人公は「そんな馬鹿な」と思いながらも、その掴みどころの無い雰囲気に、つい信じそうになる場面も。

 

「貴君」などと古めかしい言葉づかいですが、それが不思議に似合っています。

主人公を始め、小津(おづ)や明石(あかし)さんという癖のある人物を弟子に迎え、彼らに慕われています。

小津や主人公はともかく、理知的な美女・明石さんに尊敬されるということは……やっぱり樋口師匠は、意外と凄い人物なのかも?

もしかしたら、本当に天狗なのかもしれませんよね。

同じ原作者の作品「有頂天家族」に出てくるような……。

 

数ある未来パターンの一つでは、突如、世界一周の旅に出てしまった樋口さん。

しかも、羽貫(はぬき)さんという美女と共に……。

 

最終回では、砂漠からのハガキが届き、そこにラクダに乗った二人の写真が写っています。

そんな突拍子もない行動も「まあ、樋口さんだから……」と素直に納得させられるのも、浮き世離れした彼ならでは。

藤原啓治さんがノンビリした声を演じ、よく似合っていました。

 

怪しさと、それに負けないほどの愛嬌を併せ持ち、それでいて底が見えない。

それが稀有な人物・樋口師匠なのです。

 

 

第2位:「物語シリーズ」忍野メメ

そして「物語シリーズ」に登場するキーパーソン、忍野(おしの)メメ。

吸血鬼キスショットと関わった主人公・阿良々木(あららぎ)君の前に現れ、ピンチを救います。

吸血鬼ハンター三人の攻撃を、纏めて受け止めるほどの技量の持ち主。

格好は金髪にピンク色のアロハシャツ、サンダルばきと、とても胡散臭いメメ。

 

その正体は、「怪異の専門家」。

不思議な存在と、それに関わった人々を専門知識で祓い、救い、時に交渉をし……。

しかし「僕は助けない。君が勝手に助かるだけさ」など、独特な立ち位置に拘ります。

突き放すような言動をするかと思えば、命がけで相手を救ったり。

 

街を去る時には、挨拶なしで突如姿を消した、メメ。その姿に、主人公達は「別れが苦手なんだ」と感じます。

そして、案外お人好しだなあ、とも。

器用に見えて、意外と不器用。

 

長く出演しなかった彼ですが、シリーズのクライマックス「終物語」では、最後の最後に登場して、主人公の危機を救います。

そして、すぐまた去っていく……。

滅多に登場しないけど、たまに出ると美味しいところを浚う、ニクい男です。

底が知れない深みと、間違っても務め人に見えない、胡散臭い格好。

彼もまた、怪しさ満点なキャラクターです。

 

 

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第3位:「BLEACH」浦原喜助

そして、死神アニメ「BLEACH」(ブリーチ)に登場する浦原喜助(うらはらきすけ)も、胡散臭いカテゴリーに分類される人物です。

表の顔は、主人公が住む街の駄菓子屋店主。

甚平の上に羽織を着て、素足に下駄ばき。

金髪に無精ヒゲ、目深にかぶった帽子。手にはステッキ。

和洋折衷の格好に、軽くてノリの良い話し方。

自称は「ハンサムエロ店主」と、既になんとなく漂う胡散臭さ……。

 

しかし、その正体はかつての死神。

訳あって素性を隠し、百年前から現世に滞在していたのです。

ちなみに、親友は黒い猫(夜一さん)。

店の従業員は眼鏡のヒゲマッチョに、小学生位の少年と少女。

これだけでもう、怪しさ満点です。

 

普段はヘラヘラしているけれど、笑みを消して凄んだ時の迫力は、別人と見紛うほど。

浦原さんは、ブリーチ世界の「掴みどころが無い人物」筆頭です。

三木眞一郎さんの声も格好良く、密かなマッドサイエンティストでもある彼。

もう、色々と盛りだくさんですね。

 

 

第4位:「もののけ姫」ジゴ坊


宮崎駿/徳間書店・スタジオジブリ
劇場アニメ「もののけ姫」より引用

 

スタジオジブリの傑作映画「もののけ姫」に登場する、ジコ坊も。

主人公のアシタカが市で出会った、飄々とした赤ら顔の中年男です。

ずんぐりした体型に高下駄を履き、僧侶のような風体をしています。常に赤い唐笠を持っているのも特徴。

博識で、アシタカが持つ、金の粒(稀有な品)の価値を知っていたり……。

愛想が良く親切ですが、どこか油断出来ないものを感じさせるジコ坊。

 

やがて彼は、シシ神の首を狙う謎の組織の一員として、再びアシタカの前に現れます。

タタラ場や、そこの住民を捨て駒扱いにするなど非情な作戦をとる一方、顔見知りのアシタカを気に掛ける部分も。

卑怯な手を躊躇いなく使い、シシ神の首を手に入れる為に暗躍します。

普段は見せないものの、いざという時はアシタカと互角に渡り合うほどの実力の持ち主でもある、彼。

 

シシ神の影響で大勢の部下が死んだ後も、最後までしっかり生き残り、笑顔で「いやあ~、参った。馬鹿には勝てん」という有名な台詞を残しました。

時に味方になり、また時には敵になり。

それでいて、不思議な人懐こさと愛嬌を持っている……。

ジコ坊も、怪しさ満点。だけど敵とも言い切れない、不思議な立ち位置の人物です。

 

 

胡散臭いけれど、どこか魅力的。

そんな人物達をご紹介させて頂きました。

そういえば、今回挙げた四人は、全員足元が下駄(サンダル)ばきでした。

あとは、愛想の良い笑顔と、弁が立つところも共通点。

ここに、怪しさを感じるポイントがあるのかもしれませんね。