知名度はイマイチだけど、実は隠れた名作だと思うアニメをご紹介します。
ぜひ騙されたと思って、一度視聴してみて下さい。
ただし、見た上での苦情は受け付けませんので、悪しからず……。
マイナーだけど名作アニメ
世の中にはたくさんのアニメ作品が存在します。
その中には数々の埋もれた作品がたくさんあります。
まあ、アニメファンとしてはそういう作品を発見できると嬉しくなりますが・・・
やっぱ周りの人と感想を共有出来ないのは寂しいわけで・・・
だから言いたいわけで。
ということで、今回は世の中的にはマイナーよりの作品ですが、個人的にはかなり面白かった作品をご紹介したいと思います。
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クレムリン
まずは短編アニメ「クレムリン」です。
原作は、カレー沢薫先生のデビュー作漫画。
独自のシュールかつノンビリした空気と、デビュー時代のガタガタな線まで、見事に再現しています(現在の絵は、もっとずっとキレイです)。
そのユルさは、一見の価値あり!
「秘密結社鷹の爪」で有名なDLEが製作したFLASHアニメで、一話が約2分と短め。
テレビで放送された訳ではなく、You Tubeでアップされました。
今でも全話視聴出来るのが、ありがたいところです。
【とりあえず】クレムリン【作ってみた】 いちわめニャ
カレー沢薫/講談社・DLE
YouTube DLEチャンネルより引用
アップされるや、原作を知らない人にも
「なんかクセになる」
「じわじわ笑える」
と、好評を呼びました。
オープニング曲とエンディング曲もちゃんとあり、しかもエンディングは、全話違う曲!
地味に力が入っています。
内容は、飼い主と三匹の猫のユルい日常話です。
大学生の青年・キャッツが、道端で捨てられている猫に遭遇したことから物語が始まります。
しかしドライなキャッツは、捨て猫をガン無視します。
猫耳帽子を被り、猫の手ストラップを使っているのに……。
猫はガッカリしますが、諦めず美しい女性や金銀財宝をチラつかせて(どこから持って来たの?)、自分を拾わせようと奮闘します。
しかし、変わらずガン無視のキャッツ。
季節が流れ、なぜか猫は三匹に増殖。
そしてなぜか、猫の入っている箱の絵も、柿から卵に変わっていました……。
さらに、根負けしたキャッツに飼われることになった三匹の猫が、全員「関羽」と名付けられた経緯や、キャッツのガールフレンド・ニャン子ちゃんのおもてなしなど、ユルい笑いが程よく続きます。
また、可愛い関羽の声(当然のように人語を話します)や、ドライなキャッツの声のトーンも、平坦でぴったりです。
個人的には、原作七巻発売を記念して製作された、追加の五話目が特に好きです。
関羽達に乗せられ、就職活動を始めたキャッツ(大学は?)。
一流企業の「資猫堂」で、面接に挑むお話です。
比較的テンポが良く、最後まで笑いが止まりません。
特に冒頭で、求人を探す場面。
「刺身に菊の花を乗せるバイトはどうニャ?」と提案する関羽に、「もっと簡単なのがいい」と一蹴するキャッツ。
「俺の知り合いは、一定時間でスイッチを入れたり、切ったりする仕事をしていた」という回想場面……。
小気味いいテンポでスイッチを動かす猫の動きが、もう堪りません。
ここは言葉では説明出来ないので、ぜひ実際に視聴してみて下さい。
爆笑ではなく、「ふふっ」という笑いが止まらない、ユルくて楽しいクレムリン。
かなりオススメです。
ちなみに猫アニメなのに、なぜかエンディングテーマは犬の曲が多いのも、突っ込みどころです。
そして、妙に良い曲が多いです。
歌っているのは、全曲監督です。
伏 鉄砲娘の捕物帖
映画『伏 鉄砲娘の捕物帳』予告編
©桜庭一樹・文藝春秋/2012 映画「伏」製作委員会
劇場アニメ「伏 鉄砲娘の捕物帖」より引用
次にご紹介するのは、劇場公開作品「伏 鉄砲娘の捕物帖」。
熱烈なファンもいるけれど、イマイチ知名度が低いという印象の本作。
うん、分かる気もします。
まず、女の子の顔が、あまり可愛いくない!
©桜庭一樹・文藝春秋/2012 映画「伏」製作委員会
劇場アニメ「伏 鉄砲娘の捕物帖」より引用
ヒロインの浜路を始め、女性陣は皆あまり可愛いとは言い難いです、正直なところ。
主人公兼ヒロインの浜路だけは、もう少し可愛い顔に描いてあげて欲しかったなあ……と、今も思います。
本作で文句なしに「美人」と言えるのは、ヒーローの信乃だけですもの。
そして、あちこち説明が足りない、または分かりづらい部分があり、一度見ただけでは理解が難しいと思います。
尺の問題なのか・・・登場人物の行動がやや唐突に思えて……。
映画として、それは少しまずいよなあ……と。
でも!
上記のことがあっても、やはり本作は隠れた名作だと思います。
なぜなら、主人公の浜路と信乃。
二人の関係が、とても素敵な「ガール・ミーツ・ボーイ」だから。
そして映像の美しさと滑らかさが、息を飲むほどに素晴らしいから。
最後に、作品の骨子である「少女の成長物語」が、文句なしに楽しめるから。
江戸時代に似た、でもどこか近未来的な世界。
猟師の少女・浜路は祖父を亡くし、兄が住む江戸にやって来ます。
江戸では今、半人半獣の「伏」という者達を狩るよう御触れが出ていました。
浪人から抜け出す為、妹と組んで伏を狩ろうとする兄・道節。
そして浜路は、江戸について早々に美しい青年と出会います。
彼の名は、信乃。
身のこなしが軽く不思議な魅力を持つ彼は、人気の女形役者でした。
江戸の伏は、残り二匹。
残りの仲間は既に狩られ、無残な晒し首となっていました。
そんな中、浜路は吉原で六匹目の伏・凍鶴と出会い、戦います。
兄の手にかかって命を落とす凍鶴。
長屋の仲間と交流し、少しずつ江戸の町に慣れ、信乃と語らい……。
美しい江戸の風景の中、生き生きと暮らし始めた浜路。
同い年の少女・冥土という友人も得ました。
一方で、血生臭い戦いにショックを受けます。
一方で信乃も、素直で真っ直ぐな浜路に少しずつ惹かれていきます。
しかし彼には秘密と、やらねばならないことが……。
そして浜路は、信乃の舞台を観た帰りに、ならず者に襲われました。
ピンチを救ったのは、信乃。
浜路は、信乃が最後の伏であること。
人間の魂を食う存在であること。
そして自分は猟師なのに、信乃を撃てないことを知ります。
浜路を傷つけまいと、距離を置く信乃。
ショックが重なり倒れ、冥土の家で看病される浜路……。
しかし彼女は、翌朝立ち直り(やや唐突ですが)、猟師らしく獲物(=信乃)を追うことを決意します。
一方、正体がばれ、将軍の追っ手に追われる信乃。
彼は決着をつける為、刺客と戦いながら将軍・家定の許へ向かいます。
銃を手に、信乃を追う浜路。
浜路を助ける長屋の住人や、信乃の演劇仲間も、それぞれの悩みと向き合います。
そして、とうとう家定と一対一で対面する信乃。
無理を重ねたせいで、ほとんど獣の姿になっています。
偽物の人間である彼を殺せば、自分は「本物」になれると、家定は刃を構えます(家定の動機が、イマイチ分かりづらいですが……)。
「伏」とは字の通り、人と犬の間の存在。
そのせいで迫害され、苦しむ信乃に浜路はどう向き合うのか……。
燃える天守閣の上で、浜路が孤独な信乃に贈った言葉は、何か。
ぜひ視聴して、確かめて下さい。
この映画の中で、一番素晴らしい場面だと思います。
ラストの、グッと娘らしくなった浜路の笑顔も。
分かりづらい部分や消化不良な部分もありますが、それを差し引いても素晴らしい作品だと思います。
四季おりおりの風景や、艶やかな着物の美しさ。
何より、冒頭では少年のようだった浜路が、生き生きと成長していく姿が、とても魅力的です。
彼女の銃が、どう見てもカタツムリとか。
ボーイッシュなキャラなのに、浜路がやけにムチムチ体型でボイン(死語)だとか、気になる点は多々ありますが……。
京騒戯画
【公式】京騒戯画 第1話「ある一家の事情とその背景」
東堂いづみ/京騒戯画プロジェクト
アニメ「京騒戯画」より引用
かつて、幾つかの星々が存在し人とカミの境が曖昧だった頃。
これはとある一家を巡る、愛と再生の物語。
バンプレストと東映アニメーションが初めてタッグを組んだオリジナルアニメです。
本作は2011年8月に制作が発表され、同年12月にPVがネットにて公開されました。
翌年2012年には全5話に及ぶPVが公開され、合わせて100万回再生を突破、そして2013年に全13話構成にてテレビアニメが放送されたという経緯を持っています。
テレビアニメ版はWeb版をより詳しく描いており、ポップながらも心に染みるような作品として完成していました。
人と妖怪が共存する不思議な街、鏡都。
ある日、主人公のコトが空から降ってきました。黒いウサギを追ってきたと言うコトですが、明恵の家に居候することに。
明恵のきょうだい、鞍馬と八瀬の3人は、かつてに居なくなってしまった母親、古都とコトに何らかの関係があることに気付きます。
鞍馬と八瀬は古都をあの手この手で呼び戻すことに成功しましたが、今度は鏡都が崩壊しようとしているではありませんか。
コトと明恵たちは鏡都を守ることができるのか、バラバラだった家族は再び1つになれるのか…。
少し複雑な印象を受ける本作、放送後もほとんど話題になりませんでした。
ですが、個人的にとても面白い作品だなと思ったのでご紹介します。
主にポップでカラフルな絵柄が好みだったのですが、キャラデザも良いなと思っていました。
東堂いづみ/京騒戯画プロジェクト
アニメ「京騒戯画」より引用
全体的な雰囲気も明るめで、しかし家族という1本の軸を持って進んでおり、どこか芯の通った作品だなと気に入っています。
物語は個々のキャラが強くて、見ているうちにどんどんのめり込んでいきました。
特にコトと阿吽のキャラは強いです。
3人とも鏡都の街を日々暴れまわっていますが、本当にやんちゃな感じが伝わってきます。
コトの声優を務めた釘宮さんの声も、やんちゃな性格にマッチしているなと思います。
少し低めの声で演じているんですよね。
また、コトと明恵の掛け合いもテンポが良くて好きです。
軽快なテンポでアレコレ言い合っているのが癖になってしまいます。これは見てみないと分からない痛快さでしょう。
本当の家族のような掛け合いは、家族と愛というテーマを表しているようでした。
最後の結末は少し駆け足で進んでしまい、そこだけ少し勿体ないと思いましたが、全体を通してもクオリティは高かったと思います。
なんであまり話題にならなかったのかが、わたしには不思議でなりません…。
少しワクワクし、心温まるようなシーンもあり、家族って良いなと思わせてくれる作品。
本当、1人でも多くの人に見てほしいです。
昭和元禄落語心中
TVアニメ「昭和元禄落語心中」PV③
雲田はるこ/講談社・昭和元禄落語心中OAD製作委員会
アニメ「昭和元禄落語心中」より引用
第17回2013年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞し2016年にアニメ化となった、落語を題材にした作品。
続く第2期は2017年に放送され、大きな話題にはならなかったものの、コアなファンを獲得した作品となりました。
昭和50年代頃、チンピラ主人公与太郎は八代目有楽亭八雲が演じた「死神」を聞き、弟子入りを志願します。
最初は断られたものの与太郎の熱意が勝ち、落語の世界へと飛び込みました。
あることがきっかけで一度は八代目八雲から破門を言い渡されますが、なんとか破門を免れ、代わりに3つの約束を守ることように言われた与太郎。
そして明かされた八代目八雲と二代目助六、すなわち小夏の父親との関係。
落語に対しての思いと、かつて失った大切な存在、全てを聞いた与太郎は、固い決意を胸に、真打を目指して落語に励みます。
落語に縛られ苦しむ人間たちの、落語を巡る愛憎劇を描いた作品。
物語はどこか落ち着きを放ちつつ、淡々と静かに進んでいきます。
途中明かされる八代目八雲の過去や二代目助六の秘密、そして小夏の生い立ちなど、全てが複雑に絡み合いながらもその雰囲気は壊されることなく物語は進みます。
しかし、その中で描かれる人間らしい生々しい感情の応酬。
これが本作の見どころです。
雲田はるこ/講談社・昭和元禄落語心中OAD製作委員会
アニメ「昭和元禄落語心中」より引用
それぞれが辛い過去を持ち、いわば落語に縛られた人生を歩んでいます。
もがき苦しみ、暗い海をただ彷徨い続けるように…。
そこから派生した愛と憎しみの感情が、胸が痛くなるほどにハッキリと映し出されているんです。
落語というテーマの中に、ここまでリアルな人間の汚い感情を絡み付け、それを描写したということに驚きました。
そして、わたし自身はこのような人間の醜い一面が現れている描写が大好きなので、とても好きな作品になりました。
また、愛憎劇だけでなく落語シーンも圧巻の仕上がりになっています。
落語家の声優陣たちに落語の経験はないはずです。
なのに、ここまでの臨場感と迫力をだせるのかと釘付けになってしまいました。
高座の描写も本当に素晴らしく、言葉だけでは表現しきれないものが巧みに描かれていました。
演じる落語家によってここまで変わるものかというのを実感できる仕上がりに、視聴後は落語シーンをもっと取り入れてほしかったとも思いました。
個人的にお気に入りなのが第2期で八代目八雲が演じた反魂香と、小夏が演じた寿限無。この2つは本当に印象に強く残っています。
八代目八雲が親子会の中で饒舌に語っていたテンポは耳に楽しく響き、子夏の快活で活発さが溢れた寿限無は聞いているこちらまでも楽しくなれるようでした。
落語を知らない人でも十分に楽しめるものになっており、未視聴の方には是非おススメしたい作品。
メインの落語も勿論素晴らしいものでしたが、人間の織り成す愛憎劇が、どこまでも心を惹き付けようと迫ってくる感覚が堪らない作品です。
そしてこの作品は大人も十分に楽しめるものとなっているので、これまでアニメを嫌っていた人にも見てもらいたいなと思っています。
どんどん支持されることを願いたいです。
闇芝居
©「闇芝居」製作委員会2017
アニメ「闇芝居」より引用
こんなアニメがあるのかと少し驚かされた「闇芝居」。
大人向けのホラー短編アニメ。
アニメは2013年に第1期が放送され、第5期まで放送されるという人気を誇っています。
1話5分のショートアニメで手軽に見られ、5分ながらも本格的な薄気味悪さを体験できる作品なんです。
内容は都市伝説を題材としたもの。
昭和の紙芝居風に読み手が語っていくというスタイルで物語は進んでいきます。
その語り手の読み方のなんと不気味なことか…。
絵柄も一見レトロとも言えるようですが、内容と合わさると不気味さしか感じられなくなるような独特のタッチです。
第1期放送後には、かつてない作風に驚いた人が多いそう。
僕も「なんて作品だ…」と思いましたね、色々な意味で。
基本的に語り手が紙芝居を読むように進んでいき、アニメ第3期までは語り手は1人の声で演じられていたのですが、第4期では語り手に11人の声優を起用するという豪華さにパワーアップしました。
しかし一体何故ここまで人気になったのでしょうか。
まず5分枠というのがとても見やすいからだと思います。
忙しい人でも本当にお手軽に見ることができます。
次に、割と本格的な不気味さを体験できるということが挙げられると思います。
個人的には毎話最後に語り手の仮面の人が言う「お・し・ま・い…」、この台詞が薄気味悪く感じられて、なんだか怖く思っていました。
話自体も全体的に怖い話が多く、ときどきビクっとさせられるエピソードが盛り込まれているのですが、その締めくくりのあの台詞が怖い余韻をどこまでも引きずらせるようで、結構本格的だなと思いましたね。
そしてなんというのでしょう、B級感のようなひっそりとした存在感もウケた要素なのではないかなと思っています。
派手に宣伝して、今風の作画や設定、ストーリーにせず、一貫してノスタルジックで冷ややかな雰囲気を保っていて…。
個人的にはこの独特の雰囲気が気に入っているんですよね。
知っている人は知っている、けれどもあまり多くの人には知られていないであろう本作、熱い夏なんかに見ると良いかもしれません。
うすら寒くなりますよ。
魔乳秘剣帖
山田秀樹・エンターブレイン・魔乳秘剣帖制作委員会
アニメ「魔乳秘剣帖」より引用
とても面白いのに、意外と知られていない隠れた名作。
それが「魔乳秘剣帖」(まにゅうひけんちょう)。
笑いあり、アクションあり、お色気あり。
そして、人間ドラマあり……。
そんな本作品の魅力を、ご紹介させて頂きます。
本作品は、山田秀樹氏の同名漫画が原作です。
金子ひらく監督監修で、全12話。
放送は2011年です。
架空の江戸時代。
「乳こそ全て、貧乳は人にあらず」という価値観がはびこる世界。
巨乳女性が貧乳女性を蔑み、暴虐の限りを尽くす世の中……。
そんな中、胸のサイズをアップさせる秘術を持つ「魔乳一族」は、大きな権力を持っていました。
しかし一族の末娘「千房」(ちふさ)は、乳至上主義の世の中に疑問を持ち、秘伝書を持って里を飛び出します。
彼女が出会った者達とのドラマと、一族の跡目争い。
笑いとシリアス、アクションが全部詰まった作品です。
主人公の魔乳(まにゅう)千房は、一族の末娘。
山田秀樹・エンターブレイン・魔乳秘剣帖制作委員会
アニメ「魔乳秘剣帖」より引用
しかし亡き母親は魔乳と争い、滅ぼされた敵の女性なので、一族の者からは敵として白眼視される立場です。
ポニーテールに丈の短い着物、意思の強い顔つきの、美少女なのですが……。
ところが実力主義の父・胸則(むねのり)は親族の反対を押し切り、彼女を次期当主に指名しました。
そんな立場なのに、秘伝書を持って出奔した為、さあ大変。
異母姉の影房(かげふさ)を始め、迫り来る追っ手と戦いながら旅をする千房。
まだ腕も心も未熟ですが、曲がったことが大嫌い。
困っている人を放っておけず、何かとトラブルに巻き込まれてしまいます。
男まさりだけど正義感が強く、腕も確か。
そしてある理由より、どんどん胸が膨らむ主人公……それがヒロイン、千房なのです。
「乳こそ全て、という馬鹿馬鹿しさ」
前述の通り、本作では「巨乳が絶対」です。
どんな理不尽なことをされても、貧乳は巨乳に逆らえません。
そこで登場するのが我らが主人公・千房です。
彼女は斬った相手の胸を吸い取り、自身の胸にくっつける、「乳斬り」という秘術を使えるのです。
高慢な巨乳の胸を斬り、貧乳にしてしまう……。
「魔乳~」の世界では、これ以上は無い残酷な罰です。
絶望に泣き叫ぶ元巨乳、感謝する民。
そして成長を続ける、主人公の胸……。
こうして書いていても、馬鹿馬鹿しくて笑ってしまいます(笑)。
しかし、笑っていられない事態も……。
大奥では権力を持つ為、女性達が無茶な手術を繰り返し、豊胸を得ています。
また乳が無い者は、どんなに実力があっても出世することが出来ません。
一族分家の、狭山桜花(さやまおうか)のように……。
老いてなお迫力ある当主・胸則。
美人だけど陰がある長女・胸華(きょうか)。
穏やかな長男の胸幸(むねゆき)。
残忍な次女・影房。
そして末娘の千房。
幕府に影響を持つ魔乳一族なので、分家や家来など、様々な者が当主の座を狙っています。
そんな中、よりによって敵の血を引く千房を跡目に指定したので、大騒ぎになります。
穏やかな性格であり、怪我のせいで跡継ぎになれない兄は、静観していますが……。
また父親の胸則も、血筋にこだわらず平等に、子供達を評価しています。
元から千房が気に入らなかった影房は出奔した妹を斬り、跡目を継ごうと襲いかかってきます。
返り討ちに遭い、貧乳にされてしまいますが……。
怒りに燃える影房は千房のお供・楓(かえで)を巻き込み、妹に復讐しようと追ってきます。
千載一遇のチャンスを得て、千房を斬ろうと刀を振りかぶる影房。
……しかし、刀を下ろすことは出来ませんでした。
膝を着き、「そんな美しい乳房を斬ることは出来ない……」と、涙ぐむ影房。
千房は姉に駆け寄り、抱き締めます。
「美しいのは当然です。この中には、姉上から奪った胸も入っているのですから……」と、語りかけました。
シリアスなのか、ギャグなのか……。
しかし、初めて姉妹が和解した記念すべき場面です。(ここから、急速にいい人化する姉上)
また長女の胸華は一見穏やかですが、心の中には陰があります。
彼女の亡き母は正妻でありながら跡継ぎを産めず、そのせいで心を病んでしまいました。
そんな母の影響で、やはりどこか病んでいる胸華。
千房の行動は、彼女にどんな影響を及ぼすのか……。
そして忘れてはいけないのが、ギャグシーンの面白さ。
例えば、本作に出てくる三重藩藩主の「三重鳩宗」(みえはとむね)の存在。
彼は藩主でありながら庶民に紛れ、町を視察する良き殿様です。
しかしその一方、スケベで美乳に目がない鳩宗。
彼は「乳振り祭り」という祭を考案し、美女達が豊かな乳を競う様を見て喜ぶという、しょうもない一面があります。
もちろん千房も参加し、思う存分乳を振るのですが……。
この時、千房の素晴らしいポロリに感激した鳩宗の、迷台詞。
「わざと見せるおっぱいなど、ポロリの前にはゴミ同然!」と……。
真剣に馬鹿馬鹿しいことをする、その面白さを考えさせられるエピソードです(笑)。
鳩宗は、おっぱい好きな暴れん坊将軍のようなキャラクターで、けっこう好きです。
ちなみに意外と剣の腕が立ち、やる時はやる男です。
ギャグ、アクション、お色気。
そして人間ドラマ……様々な要素が詰まったアニメ、それが「魔乳秘剣帖」です。
原作は既に完結済みですが、アニメは途中までしか映像化していません。
ぜひ、残りのエピソードもアニメ化してほしいものです。
またDVDにはミニアニメ「美乳鍛練☆ちちとぎ」が収録されているので、ぜひそちらもチェックしてみて下さいね。
この記事をきっかけに、魔乳秘剣帖に興味を持つ人が一人でも増えますように……。
以上がマイナーだけど僕が名作認定している作品です。
是非・・・是非!
見てみて下さい。
そこそこのアニメファンだと有名どころは見終わっちゃって、次に見る作品を探したりしてるでしょ。
そこにスッと。
スッとこの作品達を是非。