「化物語」を始めとするアニメ、物語シリーズ。

主人公はもちろんですが、魅力的な女子もたくさん登場します。

その一人が黒髪おさげ、眼鏡に巨乳、公正明大な「委員長の中の委員長」・羽川翼(はねかわ つばさ)です。

 

 

しかし、一見「よくある委員長キャラクター」の彼女ですが、その内面には意外な顔を秘めています。

「テンプレートの良さ」と「意外性」の両方を持つ、複雑な彼女。

知れば知るほど奥深い、羽川さんの魅力をご紹介します。

まだ知らない方は、ぜひ「物語シリーズ」を視聴してみて下さいね。

 

 

羽川翼とは

主人公の阿良々木暦(あららぎ こよみ)くんのクラスメイトであり、大恩人です。

春休みのある日、暦くんが彼女と出会った時から、「傷物語」が始まりました。

ちなみに、声の担当は堀江由衣更さん。

 

 

ハマり役です。

 

見た目は小柄な身体に可愛い顔、おさげ髪に眼鏡、そして隠れ巨乳。

更に頭脳明晰で、進学校始まって以来の好成績を修めています。

まさに「絵に描いたような、萌え委員長」。

 

友達作りが下手な暦くんとも、あっという間に親しくなるほどのコミュニケーション能力の高さ。

それがうわべだけではない、心からの好意であることが見て伝わります。

完璧過ぎて「こんな人間がいるのか」と思わせるほど。

 

「まさに委員長の中の委員長。卒業後も、何らかの委員長をやるのではないか」と暦くんは独白します。

 

吸血鬼に関わった暦くんを助ける為に、飛び出したこともあります。

幸い、暦くんの血を与えて命をとりとめましたが、一時はごっそりと臓器を失いました。

友人の為に躊躇わず命を投げ出す姿は、時に異常さも感じさせます。

 

怪異の専門家・忍野メメからは「正し過ぎて気持ち悪い」と評されるほど。

暦くんにとっては心身共に救われた、大恩人なのですが……。

 

 

障り猫

春休みに地獄のような経験を乗り越え、深い絆を育んだ暦くんと羽川さん。

新しいクラスでは委員長と副委員長になり、更に交流を深めます。

 

そしてゴールデンウィーク。

暦くんは白い髪と金色の目、猫耳を持つ怪異に襲われました。

道行く人を夜な夜な襲うと、噂になっていた彼女は「障り猫」(さわりねこ)。

 

©西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト
アニメ「化物語」より引用

 

触れた相手のエネルギーを吸い取る、なぜか下着姿の障り猫……彼女は真っ先に、羽川さんの両親を病院送りにしていました。

血の繋がらない、冷め切った仲の両親を。

 

実は障り猫の正体は、羽川さんでした。

壊れた家庭で、心の通わない家族と共に過ごしてきた、17年分の膨大なストレス……それがきっかけを得て、裏人格として顕現したのです。

羽川さんの身体を乗っ取り、鬱憤を晴らすかのように、毎夜暴れ回る障り猫(別名・ブラック羽川)。

 

憎む、暴れる、傷つける、罵倒する……それはいつもの羽川さんなら、絶対にしないであろう行動の数々。

聖母のように思っていた羽川さんの意外な一面に、暦くんは驚きました。

でも私は、ちょっと安心したのです。

羽川さんが聖人ではない、醜い感情も持つ、普通の人間だったことに……。

 

メメの活躍と妖刀、そして暦くんの命がけの頑張りで、障り猫は消えました。

羽川さんには、その時の記憶は残っていません。

暦くんは、そのことに安堵しましたが……。

 

 

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猫、再び

消えたハズの障り猫が、再び姿を表しました。

 

そのきっかけは、暦くんにひたぎさんという恋人が出来たこと。

想いを寄せる暦くんを、いきなり横からかっ浚われたこと。

そのことをおくびにも出さず、二人の恋を応援したこと……。

 

それが膨大なストレスとなり、再び障り猫が産まれたのです。

 

そして更には、嫉妬の感情から、新たな怪異・虎(苛虎)まで誕生します……。

 

©西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト
アニメ「化物語」より引用

 

炎を発する虎は、忌まわしい場所である彼女の家を焼きました。

 

しかし、並外れて聡明な羽川さん。

自分の記憶の欠落から、猫や虎の存在に気付き始めました。

そこにはライバルであり友人でもあるひたぎさんや、暦くんや、彼の家族との交流も関係しています。

 

羽川さんの家が焼けた時、一晩中彼女を探し続け、廃屋で寝泊まりしていた羽川さんを本気で叱ったひたぎさん。

暦くんを挟むライバルではありますが、羽川さんとひたぎさんの間にもまた、彼女達だけの絆があるのです。

 

 

白黒併せ持つ、灰色の存在に

そして羽川さんは、猫と虎を「妹」として受け入れる覚悟をします。

それは目を背けていた、自分の醜い感情と向き合うこと。

 

決意を込めて、羽川さんは裏人格である障り猫へ手紙を書きます。

自分の意識があるうちは現れない、障り猫に向けて書いた、ノートのメッセージ。

初めて羽川さんが発した、助けを求める言葉。

 

それを読んだ障り猫は、「ご主人」と呼ぶ羽川さんの為にと奮い立ちます。

怪異である自分を受け入れ、妹と呼んでくれた羽川さんの為に、単身で虎に立ち向かう障り猫。

 

しかし虎は、羽川さんにも障り猫にも心動かされず、容赦なく二人(羽川さんと、その中の障り猫)を焼き殺そうとします。

渾身のエナジードレインも効かず、逆に全身を焼かれてしまった障り猫。

倒れた彼女を、虎は「くだらない存在だ」と、嘲ります。

 

「無理だった……無茶だった……無駄だった……」

「無駄じゃねえさ」

呟く障り猫の前に現れたのは、我らが主人公の暦くん!

 

妖刀で虎を貫き、障り猫の危機を救いました。

別の冒険を終えた直後で、ボロボロの姿で。

そして、いつの間にか「羽川さん」に戻っていた彼女。

 

虎と猫を吸収したら、今までの自分と変わってしまうという羽川さんに

「嫌なやつになったら、嫌ってやる。頭が悪くなったら、勉強を教えてやる」

どう変わっても羽川は羽川だと言われ、羽川さんは虎を自分の中に吸収しました。

 

そしてようやくバレてはいたけど、言えていなかった気持ちを告げます。

「阿良々木くんのことが大好きだよ。結婚を前提に、私と付き合ってくれないかな」

その気持ちに、真摯に答える暦くん。

「ごめん。僕、好きな子がいるんだ」

 

彼の脳裏にいたのは、恋人のひたぎさんでした。

「その子のこと、私より好き?」

「ああ」

「そっか……」

 

ようやく言えた。

ようやく失恋出来た、と思う羽川さん。

子供のように泣きじゃくる彼女の頭を、暦くんは静かに撫でました。

 

猫と虎を受け入れて、白と黒のまだらな髪色になった羽川さん。

まるで、清濁併せ持つ心のように……。

真っ白でも真っ黒でもない、灰色になった彼女は以前より強く、そして柔軟になりました。

 

そこにはもう、正し過ぎて歪(いびつ)だった頃の姿はありません。

人間は複雑で、だからこそ素晴らしい……そんなことを思わされます。