「八頭身ツンデレ美女な猫娘」で話題の、最新鬼太郎(第6シリーズ)。
目玉親父がやたらと可愛いかったり、スマホやユーチューバーが登場したりと、現代的な要素が多くあります。
最初はなんとなく「今の小さい子に合わせたんだな」と思いましたが、そのうち意外と、大人にも沁みる作品だと気付きました。
子供はもちろん、回によってはむしろ、大人にこそ響く時も……。
今回は、そんなエピソードをご紹介します。
まだ未見の方は、ぜひ今からでも視聴してみて下さいね。
目次
ゲゲゲの鬼太郎とは?
©水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション
アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」より引用
故・水木しげる先生の有名漫画及び、そのアニメ化作品です。
初期は「墓場鬼太郎」という、ダークな作品だったそうですが……。
実は私は鬼太郎にあまり詳しくないので、皆さんのほうがよくご存知かもしれませんね。
アニメ版も歴史が長く、現在放映中なのは第6シリーズ目。
絵柄もスタイリッシュになり、特に八頭身美女の猫娘やゲストキャラクターなどは、現代的な可愛いさ、萌えを感じるデザインです。
主人公の鬼太郎も髪が柔らかそうで、毛先が少しカール。
基本デザインはそのままで、少し垢抜けた感じになっています。
また鬼太郎の性格も、人間と必要以上に交流しない、どこかドライなモノになっています。
今までのシリーズに比べると、やはり現代的かも?
一方、目玉のおやじは体型がポニョポニョと柔らかく、おやじというより幼女のよう。
©水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション
アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」より引用
澄んだ瞳も愛らしく、かなりの萌えキャラぶり(笑)です。
私はそれほど鬼太郎に詳しくなく、実は熱心なファンという訳ではありません。
ちゃんと見たのは、子供の頃に放送していた第3シリーズ位です(年齢がバレますね……)。
ユメコちゃんという、人間のオリジナルヒロインが好きだったなあ……。
しかし、それ以降はあまり見ることなく。
気付けば、この春からは第6シリーズが開始。
ツィッターで流れてきた、八頭身の猫娘にビックリしました(笑)。
©水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション
アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」より引用
しかし……。
そんな私なので、最新シリーズも最初はあまり、熱心に見ていた訳ではありません。
家族が視聴しているのを、隣で眺める位で。
見逃した回もあります。
しかし、「やだ、目玉親父が可愛い!」だの、「猫娘がツンデレ!」だのワイワイしているうちに、「なんだか沁みるなあ……」「今回は、どちらかというと大人向きだな」と感じることが増えてきました、
例えば……。
号泣!すねこすり(第6話)
例えば、第6話「すねこすり」の回。
この話は大人以前に、犬好き猫好きは涙なくして見られません。
舞台は、過疎化した地方の村。
夫を亡くした老女・マサエさんが猫の「シロ」と仲睦まじく暮らしています。
三毛猫に似た、可愛い生き物・シロ。
金色の目と短い尾、赤い首輪がとてもキュート。
部屋の障子を破ったり、走り回ったりと、行動はまさにヤンチャな子猫そのもの。
マサエさんもそんなシロが可愛いく、口では怒っても笑みが隠せません。
しかしシロは、マサエさんが用意した魚を食べようとしません。
「どこで食べ物を貰っているの?」と、不思議がるマサエさん。
そしてマサエさんは近頃、体調が優れません。
心配するシロ。
それでも、一人と一匹は穏やかで幸せな毎日を過ごしていました。
ところが、都会に出て行ったマサエさんの息子・ショウが突然帰省します。
何かとぶつかり、刺々しい会話をする母子。
そしてショウは、母の異変がシロのせいだと気付きました。
彼が助けを求めたのは、鬼太郎(と、おまけのネズミ男)。
「あの化け物を退治して欲しい」と依頼し、宿で待っているからと丸投げするショウ。
割り切ったところが、現代人らしいなあ……と、やや呆れて観ていましたが……。
ところが、なんとシロは自分が妖怪だと知りませんでした。
「すねこすり」という妖怪で、周りの人間から精気を吸い取っていること。
このままでは、マサエさんは精気を吸い尽くされて死んでしまうと言われても、俄には信じられません。
「嘘だ!母ちゃんには、俺が必要なんだ!」一緒に居たいと、お互いに思っているのに……。
しかしシロは、思い出します。
かつての飼い主が、苦しみながら亡くなったことを。
あれは、自分のせいだったのか……ショックを受け、森へ駆け出すシロ。
同じ頃、シロを心配したマサエさんは森へ向かいます。
「シロ。お前が居なくなったら、あたしは……」
そのマサエさんの前に、熊が表れます。
そしてマサエさんを心配して、後を追う息子のショウ。
マサエさんの悲鳴に駆け付け、熊を追い払ったのは、巨大化したシロでした。
大きさだけではなく、姿も獅子のように恐ろしげに。
普段とは、似ても似つかない外見のシロ……。
それでもマサエさんは、シロだと見抜きました。
「シロ、お前はあたしの可愛いシロだよ……」
変わり果てた姿でも、自分を受け入れるマサエさんに、シロは揺れます。
でも、もう一緒には居られない……。
その瞬間、母を案じたショウが飛び込んで来ます。
シロから母を守ろうと、震えながら傘を構えるショウ。
その姿に、シロは「寂しい年寄りにつけ込んで、とり憑いてやろうと思ったのさ」と、憎々しい悪役を演じます。
最後はショウの傘にやられたふりをして、逃げ出しました。
鬼太郎を見送る、マサエさんとショウ。
「これからは、自分が母の傍にいる」と言うショウに、憎まれ口を叩きながらも、嬉しそうなマサエさん。
彼女は心の中で「ありがとうね、シロ……」と、涙を堪えます。
マサエさんには、シロの本当の気持ちがお見通しだったのです。
しかし、シロは今や一人ぼっち。
子猫の姿に戻り、トボトボと森を歩くシロ。
彼が咥えているのは、マサエさんに貰った赤い首輪。
彼女と暮らした日々を想い、涙を流し、悲しみに叫ぶシロ。
知ってしまった以上、もう誰かと暮らすことは出来ないのです。
相手を死なせてしまうから……。
マサエさんはともかく、シロには救いが無い、悲しい終り方でした。
幸せだったのに、一緒に居たいと思っていたのに。
終盤はシロが不憫で、悲しくて、見ている私も号泣でした。
なんとか、彼には幸せになって欲しいモノです。
とりあえず都会に行けば、たくさんの人間から少しずつ精気を吸えるので、生きるには困らないかも?
でもシロはきっと、特別な誰かと暮らしたいんですよね……。
マサエさんや前の飼い主と、心を通わせる幸せを知ってしまったから……。
「誰か妖怪が飼ったら?」とか色々考えましたが、良い解決法は見つかりません。
むしろ私が、シロを飼ってあげたい!
でも、そうしたら自分が死んじゃうし……ジレンマです。
とにかく、シロには幸せになって欲しいです。
可愛い動物が悲しみ目に遭うのは、嫌ですから。
童話「泣いた赤鬼」を読んだ時のような、スッキリしない気持ち……。
この「分かりやすくない」感じは子供以上に、大人に響く気がしてなりません。
パワハラ上司の話(第7話)
そして、第7話の「幽霊電車」。
横暴な上司が酔った挙げ句に乗った、臨時列車。
それは、あの世へ向かう列車でした。
鬼太郎は上司が生前、多くの部下を追い詰め、死なせてきたこと。
彼らの怨念により、ホームから突き落とされた上司が、既に死んでいることを告げました。
一緒にいた眼鏡の部下も、実は上司を迎えに来た死者。
部下を怒鳴り、無理難題を突き付け、追い詰め、暴力を振るい……。
自分のしたことは、やがて返ってくる。
この回はメイン視聴者であるお子様より、大人に響くエピソードだよなあ、と思ったのですが。
ラストで鬼太郎が対峙した依頼者は、実は学校でイジメ加害者の一人でした。
それとなく彼女に、警告めいたことを告げる鬼太郎。
「このままでは、お前も同じ目に遭うぞ」と。
学校という身近な場所を出すことで、子供にも「自分のこと」と感じさせる。
そんな工夫なのでしょうか。
お子様にも親御さんにも響く、そんなシリーズだと思いました。
ゲゲゲの鬼太郎のヒロイン
ただいま、大人気放送中の「ゲゲゲの鬼太郎」第6期。
本作には久々の人間ヒロイン、犬山(いぬやま)まなちゃんが登場しています。
鬼太郎の第3期にも、人間のユメコちゃんが居ましたっけ……。(4期にも村上祐子ちゃんが居ましたが、登場期間がやや短いので今回は割愛します)
今回は、そんな視聴者の目線に近い「人間ヒロイン」について、感じたことをお話させて頂きます。
あくまでも個人の感想なので、その旨ご了承の上お読み下さいませ(深々とお辞儀)。
天童夢子とは?
(C)水木プロ・東映アニメーション
アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」より引用
さて、第3シリーズに登場していたのが、アニメオリジナルの人間ヒロイン。
その名は天童(てんどう)ユメコちゃん。
栗色の髪に可愛い顔、水色のベストとスカート。
声の担当は色川京子さんです。
鏡じじいに助けられたことから、人間でありながら鬼太郎達と親しくなりました。
ねこ娘とは仲の良い友人であり、鬼太郎を巡るライバルのようでもあり。
鬼太郎に対しては、お互いに憎からず思っているようで……可愛い恋の行方に、子供ながらドキドキしていました。
記憶が確かなら、鬼太郎にキスを迫ったこともありました。
ユメコちゃんは完全にヒロインポジションで、鬼太郎の敵に拐われたり、操られるエピソードも多くありました。
詳細は忘れましたが、服を失くして一反木綿を裸体に巻いたことも……今思うと、かなり際どいお色気ですね。
ユメコちゃん、小学生なのに……。
時代のせいか基本はおしとやかな性格でしたが、芯は強かった覚えがあります。
鬼太郎を救う為に頑張ったり、敵対する妖怪にも優しさを向けたり。
今思うと人間の小学生という、視聴者に近い存在のユメコちゃんがいることで、物語を身近に感じ易かったような気がします。
「人間の視点」が入るというか……。
地獄編の最終回で、鬼太郎の母を蘇らせる為に地獄へ行った一堂。
ところが岩が落ちてユメコちゃんに当たり、彼女は命を落としてしまいました。
鬼太郎の母・岩子は自分の命をユメコに与え、彼女を救います。
せっかく生き返るチャンスだったのに……。
逆に言えば、それだけユメコちゃんが重要な存在だということでしょう。
子供時代の、印象深いキャラクターです。
犬山まなとは?
©水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション
アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」より引用
さて。
現在放映中の第6期には、犬山まなちゃんが登場します。
シリーズ開始前から、「ユメコちゃん以来の人間ヒロイン!?」と、綺麗過ぎるねこ娘と共に話題になっていました。
まなちゃんは中学一年生で、好奇心旺盛かつ元気な女の子。
アシンメトリーな髪型に、パフスリーブにミニスカートの可愛い制服。
デザインも性格も、かなり現代的です。
最初は妖怪の存在を信じかねていましたが、実際に遭遇してからは受け入れるなど、柔軟な心の持ち主です。
気が強く行動力があり、鬼太郎を助けようと、独自に異変を調べたことも……。
しかし、必要以上に人間と関わらない主義の鬼太郎には、深入りするなと忠告されてしまいました。
後にそれは、危険から遠ざけたい気持ちの表れと分かりますが。
忠告に揺れながらも工事現場を調べ、妖怪城の人柱に気付いたことが、鬼太郎へのヒントになりました。
その際のSOSも、証拠を写真に撮り、LINEで助けを求めるという、迅速でハイテクなもの。
「現代っ子だなあ……」と、しみじみ感じました。
そういえば、スレンダー美女のねこ娘とまなちゃんは、良好な関係を築いています。
基本はツンデレですが、面倒みの良いのがねこ娘。
見上げ入道から助けてもらってから、まなちゃんは彼女を「ねこ姉さん」と呼び慕っています。
ねこ娘も満更ではないのか、LINEで連絡を取り合ったり、仲良くしている様子。
苗字の通り、犬のように人懐こいまなちゃん。
視聴者と妖怪達の間の、架け橋のような存在です。
「違う存在との共生」という、度々出てくるテーマには欠かせない子ですね、きっと。
砂かけばばあ達も、「あの子には鬼太郎が助けられたし」とまなちゃんの危機に駆けつけるなど、恩義を感じているようです。
人間に対して距離を置く鬼太郎に対し、間に入ってとりなすのが目玉おやじ。
そのおやじも、まなちゃんについて「良い子じゃなあ……」と、感じ入っていました。
ちなみに、ハイテク機器に興味のない息子に対して、おやじさんは興味津々。
まなちゃんのスマホに触りたがったりと、地味に可愛いおやじさんです。
そういえば、エンディングでまなちゃんが妖怪たちのぬいぐるみを自作していました。
とても可愛い出来でしたが、おやじのぬいぐるみが本人と一緒にお風呂に入っていたのには、ビックリ!
濡れたら色落ちしちゃうよ?
乾かすの大変だよ?と(笑)。
嫌がる場所には踏み込まず、さりとて無視もせず。
異なる者同士が、共に快適に過ごすには、どうすれば良いのか。
現実にも問われる、大切なテーマです。
最終回までに、鬼太郎達とまなちゃんの距離がどう変わるのか……興味は尽きません。