世の中には、時にシュールな作品があります。

シュールな作品とは、起承転結や整合性がなく、真面目に筋を追っていたら、頭が混乱するような作品が。

「考えるな、何となく勢いを楽しめ!」という作品。

そのシュールな作品の最たる例の放送が2018年1月から開始されました。

その名が「ポプテピピック」。

 

 

せっかくなので紹介させて頂きます。

好き嫌いが分かれるかもしれませんが、個人的にはこういう訳の分からないタイプの作品は嫌いじゃない。

気持ちが沈んでいる時に視聴すると、頭が混乱して、細かい悩みを一時、忘れられるので……。笑

 

 

ポプテピピックとは


大川ぶくぶ/竹書房・キングレコード
アニメ「ポプテピピック」より引用

 

アニメ作品は2018年1月にスタートした「ポプテピピック」。

神風動画、キングレコードが制作に携わり、シリーズ構成は青木純さん、梅木葵さんが勤めています。

 

原作はウェブ漫画。

2014年11月29日から連載が開始されました。

僕はもともと原作漫画を愛読していました。

ポプテピと言えば、自ら「クソ4コマ」を自称するほどの、何でもアリな漫画。

 

出版元の竹書房を、作品内で爆破したり。

または有名作品の数々を、堂々とパロディしたり。

一歩間違えれば、問題になりそうな尖り具合が持ち味。

ちなみに「ファ○クポーズ」や過激な台詞も、多く登場します。

絵柄は丸くて、愛らしいのに……。

 

まさにカオス。

まさに宇宙の始まり。

ただ、そのカオスぶりが人気を博し、特に竹書房をぶっ壊す話は人気が高いようです。

読者もいろんなストレスを抱えているので、権力に逆らう描写を求めているんでしょうね・・・。笑

全くなんて時代だ!笑

 

 

「ポプテピピック」のアニメ化

そんな作品がアニメ化になるにあたり・・・

「一体あれを、どんな風にアニメ化するのか?」と、期待と不安を抱いていました。

 

しかし……実際に始まったアニメを視聴して、その心配が杞憂だったと分かりました。

原作漫画のカオス具合を、見事にアニメ化していました。

いえ、むしろアニメならではの表現方法を逆手に取って、味わいに転化するという見事な手腕!

 

アニメ化になるとその作品自体の魅力を損なってしまう場合があります。

特にアニメは1クールが12話程度と尺が決まっています。

やりたい話をいつまでも書き続ける事が出来る漫画とは違うため、原作の話を圧縮して放送しなければ行けなかったり、場合によってはその尺の問題でアニメオリジナルの話を作ることもあります。

 

また、アニメで伝えるにはキャラクターの声を演じる声優さんが必要となります。

原作が有名であればあるほどファンはキャラクターへ愛情をそそぐもの。

そのため、キャラクターのイメージと声が合っていない場合は視聴者が離れていく現象も起きます。

 

こうした要素が加わっていくと・・・名作が駄作に変化。

アニメ化しなければ良かった・・・という状態に陥ります。

このような現象はアニメや漫画の実写化によく起こる現象。

二次元のものを三次元にするのですから、当然色んな問題が生じます。

 

逆にアニメ化されたことによって魅力がさらに伝わるような作品もたくさんあります。

「けいおん!」や「working!」は本来4コマ漫画のところを、見事にストーリーの肉付けをし、さらに4コマならではのテンポ感を表現して大成功を収めました。

まさに「アニメ化して良かった・・・」と多くの人に言わせた作品達。

 

結果を言うと「ポプテピピック」は成功を収めた部類のアニメ作品に入ります。

正直・・・メチャクチャ面白かったです。

見ながら始終、笑いっ放しでした。

やっぱり意味は、分かりませんでしたが……。

 

そんなカオスぶりを表現するように、Amazonビデオに集まったレビューもまたカオスなものばかり。

 

 

2018年1月21日の時点で228件のレビューを獲得し(←この数は地味にスゴイ)、平均3.7点を獲得していますが、この作品に関しては平均点はあまり参考にならず・・・。笑

レビュー件数を見ても分かるように、かなり視聴者は・・・ネットは、騒然としています。

 

 

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「ポプテピピック」の魅力とは

なぜ、たくさんのレビュー件数を獲得し、視聴者の感想がお祭り騒ぎになっているのか。

それは、まさにこの作品の魅力があるからに他なりません。

その魅力を解説します。

 

劇中劇

まず、冒頭からいきなり始まる、別作品「星色ガールドロップ」

キラキラした絵のラブコメが始まり、そのまま凝ったオープ二ングまで……。

可愛い女の子達がスクールアイドルになり、舞台で歌って踊っています。

 

僕はは原作読了済みなので「おっ、こう来たか!」と驚きませんでしたが、

アニメで初めて見た人は、きっと「今自分は、別番組を見てる?」と、混乱したに違いありません。

 

凝ったオープニング映像が終わった瞬間、いきなり画面を破って現れる、主人公のポプ子。

「教えねえ~よっ!」

はい、ポプテピの洗礼ですね。

意味が分かりません。

知らない人は、ビックリしただろうなあ……と、ほくそ笑んでしまいました。

 

ちなみにオープニングのラストに、偽番組のメンバーが勢揃いしていましたが……。

隅に、巨大な白い犬が……。

あれは定春?

それとも、犬のお父さん?

私の好きな「ユーロビートの神」らしき人もいて、密かにテンションが上がりました。

 

無駄に力の入った声優陣

そして始まった、ポプテピピックの本編。

しかし、怒涛のように小ネタが始まっては終わり、始まっては終わり……。

嵐のような慌ただしさです。

しかし、そこがポプテピらしい。

 

何より、なぜか主人公達の声が、江原正士さんと、大塚芳忠さんでした。

主人公は二人とも、女子中学生なのに……。

ちなみにお二人の代表作はこんな感じ。

 

江原正士 大塚芳忠
年齢 64歳 63歳
代表作 「バチカン奇跡調査官」サウロ大司教
「ポケットモンスター 水の都の護神 ラティアスとラティオス」ラティオス
「武装錬金」キャプテンブラボー
他多数。
※洋画の吹き替えなども多数おこなっています。
「亜人」佐藤
「ささみさん@がんばらない」月読神臣
「SLAM DUNK」堀田徳男、仙道彰
他多数。
※テレビ番組のナレーションや、洋画の吹き替えなども多数おこなっています。
声の特徴 野太く厚みのある声色 たくさんのナレーションをしているため、聴いたら確実に分かる声。
低音の痺れるようなダンディな性質が特徴。

 

声優の大御所とも言われるお二人が女子高生の声を担当しているんです。笑

 

「あたし、ポプ子!十四歳、中学二年生!」という台詞を、江原さん(成人男性)の声で言われる違和感たるや……。

面白過ぎて、お腹が捩れるほど笑いました。

そして、もう一人の主人公・ピピ美の声は、大塚さん(渋い声の成人男性)……。

「えいっえいっ(殴る)。怒った?」「怒ってないよ?」というお馴染みのやり取りも、声が江原さんと大塚さんというだけで、こんなにおかしくなるとは……。

 

「ポプテピピック」の声優陣はこれだけではありません。

話数やパートによって主人公であるポプ子とピピ美の声優が変わるんです。

 

話数 パート ポプ子 ピピ美
1話 Aパート 江原正士 大塚芳忠
Bパート 三ツ矢雄二 日髙のり子
2話 Aパート 悠木碧 竹達彩奈
Bパート 古川登志夫 千葉繁

 

などなど・・・。

大御所から若手まで、幅広い声優さん達が演じているのですが・・・そうそうたるメンバーですね。

悠木碧さんと竹達彩奈さんは「petit milady」でユニットを組んでいたり、意外とこの組み合わせになっているのには共演が多かったりなど、理由がありそうです。

 

くだらない内容を、実力のある声優さんが本気で演じているからこそアニメ「ポプテピピック」の魅力があぶり出されています。

 

パロディ

そして「ポプテピピック」の最大の魅力はパロディ。

パロディを扱うアニメ作品はたくさんあります。

「じょしらく」「らきすた」「ミルキィほぉむず」などなど・・・。

 

パロディを扱うと内容が薄っぺらい印象を与えますが、使い方によってはその作品を広く認知させる事にも繋がります。

当然、パロディをやったって売れるとは限りません。

その点、「ポプテピピック」はパロディの要素が制作が同じとか、そういう裏事情を関係なく、いろんなところからかいつまんで構成されているのが特徴。

 

アニメが始まるやいなや・・・怒涛のパロディの嵐。

「ベルセルク」
「君の名は。」
「けものフレンズ」
「るろうに剣心」
「となりのトトロ」
「タカ アンド トシ」
などなど……。

他にも、元ネタが分からないパロディがたくさんありました。

 

あの大ヒット映画っぽい場面で、あの曲っぽいイントロ。

迫り来る隕石。

「あんたの、名は……?」

 


大川ぶくぶ/竹書房・キングレコード
アニメ「ポプテピピック」より引用

 

良いんでしょうか、これ……。

 

結局、隕石が衝突するあたり、ポプテピらしいですけれど。

ともあれ、訳が分からないながら面白かったです。

 

その上、後半は声優さんを変更して、同じ内容をリピート。

しかも後半の担当は、三ツ矢雄二さんと日高のり子さんです。

「タッチ」の、タッちゃんと南ちゃんだ……!

無駄に豪華で、また笑いがこみ上げました。

日高さん演じるピピ美ちゃんは凛々しく、何となく「犬夜叉」の桔梗さまを思わせるなあ、と思ったり。

 

 

それにしても、主人公達が喋る時に口がムグムグ動くのは、可愛いかったです。

エンディングはほのぼので、愛らしかったですし。

焼き芋を半分こして食べるポプ子とピピ美に、ほっこりしました。

 

歌の歌詞に「中指立てて~」とあるのが、いかにも本作らしいですが。

 

ともあれ、訳のわからなさを含めて大満足でした。

あの理不尽さは、癖になります。

録画して、欠かさず視聴するつもりです。

早く続きが見たい……。

 

放送後にネットで感想を探したら、「人類には早すぎた」という感想があって、吹き出しました。

上手いこと言うなあ、と。

 

 

 

元祖シュールなアニメと言えば「ギャグマンガ日和」。

増田こうすけ氏の不条理ギャグを、見事に映像化しました。

今でも、根強い人気のシリーズです。

 

声の出演を、ほとんど声優のうえだゆうじさんが担当しているのが、凄いところです。

オープニング、エンディング曲まで熱唱しているし。

「コートの中には、魔物が住むの♪」というフレーズで始まるオープニングは、今も印象に残っています。

 

劇中には様々なシリーズが登場しますが、基本的に一~数話で完結するモノが多く、手を出し易いです。

「名探偵うさみちゃん」シリーズや、「飛鳥文化人」シリーズ、「奥の細道」などが人気ですが……個人的には漫画家シリーズの、「ソードマスターヤマト」が好きです。

 

「ソードマスター~」は、連載作品の打ちきりを告げられた漫画家が、残り3ページで、いかに広げた風呂敷を畳むか、苦心する物語です。

「十回刺さないと死なない魔王」「まだ全員出ていない、四天王」「生き別れの妹」……。

 

「ギャグ漫画日和」はあまりのスピードに、笑いが漏れること間違いなし、です!

しかし、「ポプテピピック」はそれを超えうる作品かもしれません。

カオスすぎて評価は真っ二つに分かれると思いますが、それくらいが今の時代には丁度良いかも。

まだ見ていない人は是非見てみて下さい。